
「アフリカのピアスって、なんであんなに大きいの?」って、思ったことある人もいるかもしれません。耳たぶが輪っかみたいに広がっていたり、大きな飾りをぶら下げていたり――まるでアート作品みたいなピアスが目を引きますよね。でも実はそれ、単なる“ファッション”じゃなくて、その民族や地域の文化、価値観、歴史がギュッと詰まったものなんです。ここでは、アフリカでなぜピアスが大きくなるのか、その伝統的な意味と今のファッションとしての魅力をひもといてみましょう。
大きなピアスを装着したマサイ族(ケニア)の女性
出典:Gordon TuribamweによるPixabayからの画像
アフリカの多くの民族にとって、ピアスは単なるおしゃれじゃなく「自分は誰か」を表す大切な道具でした。たとえば、ある地域では成人の証として、あるいは結婚したことの印としてピアスを開ける文化があるし、別の民族では身分や階級、宗教、所属する部族を表す目印として使われていたんです。
特に耳たぶを徐々に引き伸ばして大きな輪を作るスタイルは、誇りや美の象徴とされているケースが多く、「耳の穴の大きさ=美しさ」という価値観も存在していました。
アフリカには数え切れないほどの民族がいて、それぞれに独自の装飾文化がありますが、大きなピアス文化で特に知られているのが次のような民族です。
耳たぶを伸ばしてピアスをつけたマサイ族の女性
出典: Photo by William Warby / CC BY 2.0より
マサイ族の男女は若いうちから耳に穴をあけ、重りをつけて徐々に伸ばしていく習慣があります。金属製のリングやビーズで飾り立てることで、部族の誇りや個人の美意識を表現しているんですね。
伝統的なリッププレート(唇皿)を装着しているエチオピア南部のムルシ族の女性
出典: Photo by Gusjer / CC BY 2.0より
ムルシ族の女性は、耳たぶだけでなく下唇に陶器のプレート(リッププレート)をはめる装飾文化でも有名ですが、同じく大きく伸ばした耳にピアスをつける習慣もあります。これには美しさ・強さ・成熟といった意味が込められています。
ヒンバ族の女性たちは、真鍮や鉄、貝殻などの素材を使ったピアスや耳飾りを重ねてつけるスタイルが特徴的。髪型やボディペイントと同じように、ピアスも自分自身の表現手段として機能しています。
大きなピアスは、単に目立ちたいからというより、「一目でわかる」という機能性を持っていたんです。言葉がなくても、耳飾りを見ればその人が属している社会的位置や通過儀礼の経験がすぐにわかる――そんな“目に見える履歴書”のような役割を果たしていました。
また、耳の穴を引き伸ばす過程そのものが痛みや時間を要する儀式でもあり、大人になること、仲間になることの象徴とされていたんですね。
最近では、都市部を中心に伝統的な大きなピアス文化は減少傾向にありますが、ファッションやアイデンティティとして復活しつつある動きもあります。たとえば:
つまり今では、文化とファッションがミックスされた「表現のアイテム」として愛されているんです。
アフリカのピアス文化が教えてくれるのは、「装飾=意味」だったということ。大きいから美しい、痛みを耐えたからこそ価値がある、他人と違うからこそ自分らしい――そんな人としての誇りが、あの耳飾りひとつに詰まっているんです。
アフリカの大きなピアスは、ただの飾りじゃなくて文化そのもの。そこには美、伝統、コミュニティ、アイデンティティが生きていて、見る人の心にも何かを訴えかけてくるんです。耳につけた“物語”、ちょっと気になってきませんか?