なぜアフリカが「人類の起源」なの?

「アフリカは人類のふるさと」と聞いたこと、ありませんか?教科書やテレビでなんとなく知っていても、「でもなんでアフリカなの?」って疑問に思ったこと、ありませんか?

 

実はこの“人類の起源がアフリカ”という説は、ただのロマンじゃなくて、化石・DNA・気候・動物分布といった科学的な証拠にしっかり裏打ちされているんです。

 

ここではそんな「なぜアフリカが人類の起源とされるのか?」という問いに、わかりやすく答えていきます!

 

 

最古の人類の化石が、アフリカで見つかっている

南アフリカで発見されたアウストラロピテクス・アフリカヌスの頭蓋骨化石「ミセス・プレス」(約210万年前)

出典:Photo by Jose Braga & Didier Descouens / CC BY-SA 4.0より

 

まず一番の理由は、人類の進化の“証拠”がアフリカに集中しているから。
たとえば――

 

  • ルーシー(アウストラロピテクス):エチオピアで発見。約320万年前の二足歩行をする女性型化石
  • ホモ・ハビリス(“器用な人”):タンザニアで発見。約240万年前の初期人類
  • ミセス・プレス(アウストラロピテクス):南アフリカで発見。約210万年前の初期人類
  • ホモ・サピエンス最古の化石:モロッコで発見された頭骨は、約30万年前のものと推定されています

 

こうした重要な化石が東アフリカの“グレート・リフト・バレー”(大地溝帯)と呼ばれる地域を中心に数多く見つかっていることから、
この地域が人類誕生の“ゆりかご”だったと考えられているんです。

 

DNAが教えてくれる“人類の旅のスタート地点”

 

化石だけじゃありません。 近年では遺伝子研究(DNA解析)が、アフリカ起源説をさらに強く後押ししています。

 

人間のDNAを世界中で調べると、アフリカ人のDNAの多様性が最も高いことがわかっています。これはつまり、「アフリカで人類が最も長く暮らしていた=進化の時間が長かった」ということ。

 

逆に、アフリカ以外の地域では、DNAの多様性が限定的。これは少人数のグループがアフリカから“出て行った”結果、遺伝的バリエーションが絞られたことを示しているんですね。

 

このことから、現生人類(ホモ・サピエンス)はアフリカで誕生し、そこから世界に拡散していったと考えられています。

 

これを「アフリカ単一起源説」と呼びます。

 

 

自然環境が“人類の進化”にぴったりだった

 

アフリカが人類の進化にふさわしい場所だったのには、自然条件の絶妙なバランスも関係しています。

 

たとえば――

 

  • 草原(サバンナ)と森が入り混じった環境が、二足歩行を促した
  • 気候変動が激しく、適応力が高い個体が生き残った
  • 多様な動物との関わりが、道具の使用や知能の発達をうながした

 

つまり、アフリカは“人類を育てる実験場”のような場所だったとも言えるわけです。
しかも、ここでは類人猿(チンパンジーやゴリラ)と人間の共通祖先も生きていたとされ、人類進化の核心地帯となっています。

 

世界への“人類大移動”もアフリカから始まった

 

人類はアフリカで誕生したあと、やがて中東 → アジア → ヨーロッパ・オセアニア → アメリカへと移動していきます。
これは約6万年前から始まったとされる大移動で、いわば人類の“地球一周の旅”です。

 

この旅の出発点がアフリカ、ということは、今地球上に生きているすべての人類は“アフリカ出身”とも言えるわけですね。

 

アフリカが“人類のふるさと”と呼ばれるのは、そこに最古の化石があり、DNAがそう語り、自然環境がそれを支えてきたから。わたしたちのルーツをたどっていくと、最終的にはみんなアフリカにつながっている――それって、なんだかちょっと感動しませんか?