
モザンビークの国旗
緑は自然、黒は国民、黄は資源、白は平和、赤は独立闘争、銃と本と鍬は防衛・教育・労働を象徴
モザンビークの場所
南東アフリカに位置し、東はインド洋に面し、北にタンザニア、北西にマラウイとザンビア、西にジンバブエ、南西にエスワティニと南アフリカ共和国と接する
正式名称 | モザンビーク共和国 |
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首都 | マプト |
面積 | 約80万平方キロメートル |
人口 | 約3,400万人(2024年推定) |
公用語 | ポルトガル語 |
通貨 | メティカル(MZN) |
地理 | 東アフリカに位置し、インド洋に面する。多くの川と沿岸平野がある。 |
歴史 | 1975年にポルトガルから独立。内戦を経て1992年に和平合意。 |
経済 | 天然ガスや石炭、アルミニウムが重要。農業と漁業も主要産業。 |
文化 | バントゥ系民族が多数派。音楽とダンス文化が活発。 |
国際関係 | アフリカ連合、SADC、ポルトガル語共同体加盟国。 |
「モザンビーク」――名前からしてちょっとリズミカルで、アフリカらしい響きですよね。でも実際は、東アフリカのインド洋に面した“海と陸の交差点”のような国なんです。ポルトガルの植民地だった歴史、多民族社会、海洋文化、そして内戦の記憶など、モザンビークには知れば知るほど奥行きのあるストーリーが詰まっています。ここではこの国の魅力を、「歴史・社会・文化・地理」の視点から紹介します。
モザンビークの歴史は、スワヒリ商人、アラブ交易、そしてポルトガルによる植民地化が大きな特徴です。早くからインド洋交易に関わっていたこの地は、金、象牙、奴隷の取引で重要な中継地となっていました。
1498年にヴァスコ・ダ・ガマが到達して以降、ポルトガルによる影響が強まり、19世紀には本格的に植民地「ポルトガル領モザンビーク」として支配されます。独立運動は1960年代にFRELIMO(モザンビーク解放戦線)によって展開され、1975年に独立を果たしました。
ところがその後、FRELIMO政権と反政府武装組織RENAMOの間で長期内戦(1977〜1992年)が勃発。数十万人が犠牲となり、経済も社会もボロボロに。和平合意以降は民主化と再建が進んでいますが、北部でのイスラム過激派の活動など、新たな課題も生まれています。
モザンビークの社会は、海沿いの多文化都市と内陸の農村社会が共存する、多層的な構造。民族、言語、宗教、暮らし方が地域によってまったく違うのがこの国の面白さです。
大統領制の共和制で、FRELIMOが長年与党を務めています。多党制と選挙制度は整っていますが、野党への圧力や汚職が課題です。近年では、天然ガス開発にからむ利権問題や、北部のカーボ・デルガド州での暴力も政治の大きな焦点になっています。
農業、漁業、鉱業、そして天然ガスが柱。特に天然ガスは世界有数の埋蔵量を誇り、これからの成長が期待されています。一方で都市と農村、北と南の経済格差が大きく、貧困率も高いのが現状。インフラ整備、雇用創出、教育機会の格差是正が急務とされています。
キリスト教(約55%)とイスラム教(約18%)が共存しており、宗教的寛容さが比較的高い国。ただし、北部での過激派によるイスラム名目の武装活動が問題化しており、宗教と治安のバランスが問われています。伝統信仰とミックスした宗教観も根強く、自然や祖先への尊敬も大切にされています。
公用語はポルトガル語。これはアフリカでは珍しい特徴のひとつですが、実際にはショナ語、マクア語、セナ語、ツォンガ語など、20以上の民族語が広く使われています。多くの人が日常では現地語+教育や公務でポルトガル語という、マルチリンガル社会を生きています。
モザンビークの文化は、インド洋とアフリカ内陸のミックス。ポルトガルの影響も残しつつ、音楽、ダンス、料理、工芸にアフリカらしい躍動感と独自性があるんです。
木彫、マコンデ彫刻、ビーズアート、壁画が有名で、特にマコンデ族の仮面や彫刻は国際的にも評価されています。都市部ではグラフィティや現代アートも増えていて、若者たちが表現する場としてアートが重要な役割を果たしています。
サッカーが断トツ人気で、ナショナルチームもアフリカ大会などで活躍中。ほかにも、バスケットボールや陸上競技も盛んで、学校教育にスポーツが組み込まれています。オリンピックのメダリストも輩出していて、国民の誇りになっています。
ポルトガル風アフリカ料理が特徴的で、シーフード、トマト、ニンニク、ピリピリ(唐辛子)の風味がよく効いた料理が多いです。マトアパ(煮魚のピーナッツソース)、カシューナッツライス、焼きエビなどが定番で、海の幸を活かした料理が多いのも海洋国家ならでは。
ポルトガル植民地時代の洋風建築が都市部に多く残っていて、イスラム風の装飾やアラブ建築の影響も感じられます。農村部では土と木材で作った丸屋根の家が多く、自然と気候に合わせた建築スタイルが息づいています。
モザンビークはアフリカ東海岸に広がる細長い国で、国土のほとんどがインド洋に面しているという地理的特徴があります。そのため、海と川と大地が生み出す多彩な風景が魅力なんです。
東部はインド洋に面した低地とビーチ、内陸部に向かって丘陵地や高原地帯が広がっています。ザンベジ川やリンポポ川など、大きな川が多く、農業や水運の重要な資源となっています。
熱帯性気候で、雨季(11〜4月)と乾季(5〜10月)があり、沿岸部は湿度が高く、内陸部はやや乾燥しています。近年はサイクロンの被害が深刻化していて、災害に対するインフラ整備も課題のひとつです。
ゴロンゴーザ国立公園などでは、ゾウ、ライオン、バッファローなどが見られ、再野生化プロジェクトも進んでいます。また、モザンビーク海峡のサンゴ礁、ジュラ岬のビーチはダイビングやエコツーリズムの宝庫。陸と海の生物多様性がぎゅっと詰まった自然豊かな国です。
モザンビークは、海、文化、資源、そして再生の力を秘めた国。まだまだ課題は多いけど、そこにある人々の知恵と表現、そして自然との共生の姿は、世界にもっと知られてほしい魅力にあふれています。