
ブルンジの国旗
緑は希望、白は平和、赤は独立の犠牲、3つの星は団結・労働・進歩の国是を象徴している
ブルンジの場所
東アフリカの内陸に位置し、北にルワンダ、東と南にタンザニア、西にコンゴ民主共和国と接する
正式名称 | ブルンジ共和国 |
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首都 | ギテガ(実務機能はブジュンブラ) |
面積 | 約2.8万平方キロメートル |
人口 | 約1,300万人(2024年推定) |
公用語 | キルンディ語、フランス語、英語 |
通貨 | ブルンジ・フラン(BIF) |
地理 | 東アフリカ内陸部に位置し、タンガニーカ湖に接する。高原地帯に広がる小国。 |
歴史 | 1962年にベルギーから独立。民族対立(フツ族とツチ族)に起因する紛争を経験。 |
経済 | 農業中心(コーヒー、茶など)。世界最貧国の一つで、経済基盤は脆弱。 |
文化 | 伝統舞踊や打楽器文化が豊か。家族や共同体を重視する文化が根強い。 |
国際関係 | アフリカ連合、東アフリカ共同体(EAC)加盟国。 |
「ブルンジ」――名前は聞いたことあるけど、「どこにあるの?」と思った人も多いかもしれません。
実はブルンジは、アフリカ大陸のほぼ中央、「アフリカの心臓部」とも呼ばれる内陸にある小さな国。その平均標高は約1,700mとかなり高く、涼しく過ごしやすい気候や美しい山岳風景から、「アフリカのスイス」とも呼ばれています。
けれどこの国には、深い歴史、痛ましい紛争の記憶、そして希望に向かう人々の力強さがつまっているんです。ここではそんなブルンジを、「歴史・社会・文化・地理」の視点でじっくり紹介していきます。
ブルンジの歴史は、独自の王国(ブランジ王国)から始まります。数百年前から王(ムワミ)を中心とした伝統的な統治体制が存在し、農耕民フツ、牧畜民ツチという二つの主要な民族が共存していました。
しかし19世紀末、ドイツに植民地化され、第一次世界大戦後はベルギーの委任統治領に。植民地政策の中でツチとフツの差別と分断が強化され、独立後にその対立が大きな社会的亀裂を生む原因となります。
1962年に独立後も、クーデター、暗殺、民族間の報復的暴力が繰り返され、1993年〜2005年には内戦状態に。30万人以上が命を落としたとも言われています。2005年の和平合意以降は民主的な選挙と復興が進められてきましたが、政治の不透明さや表現の自由の制限といった課題も残っています。
ブルンジは、小さい国に多くの人がぎゅっと暮らす、人口密度の高い社会。厳しい状況の中でも、家族や地域コミュニティの結びつきがとても強く、農業を軸とした暮らしが今も根づいています。
政治体制は大統領制の共和国。かつては独裁的な傾向もありましたが、現在はエヴァリスト・ヌダイシミエ大統領のもとで安定と改革を目指しています。ただし、野党への圧力、報道規制、人権問題も指摘されていて、民主主義と国家統合のバランスが今も試されている状態です。
経済は世界最貧国のひとつとされていて、農業に従事する人が全人口の90%以上。主な輸出品はコーヒーと茶ですが、価格の変動に大きく左右されます。鉱物資源もありますが、開発の遅れやインフラ不足が足かせに。自給的農業と援助に依存する経済構造になっています。
カトリックを中心としたキリスト教(約90%)が主流で、伝統宗教や少数のイスラム教徒もいます。教会は単なる宗教施設にとどまらず、学校や医療、地域活動の拠点にもなっていて、社会的な役割が大きいです。
公用語はキルンディ語とフランス語、英語。中でもキルンディ語は国民のほぼ全員が話す共通語で、これはアフリカではめずらしい言語的一体性です。教育や行政ではフランス語が使われ、近年は英語教育も広がりつつあります。
ブルンジの文化は静かだけど奥が深い。表に出すよりも語る・聞く・感じることを大事にする文化で、音楽、踊り、語りの中に歴史や価値観がしっかり詰まっています。
木彫り、カゴ編み、陶器などの伝統工芸が各地で受け継がれています。装飾よりも実用性重視の“暮らしに根ざした美”という感じ。戦争や貧困をテーマにした現代アートにも注目が集まり始めていて、若手アーティストたちのメッセージ性のある作品も増えています。
サッカーが大人気で、学校や街角での草サッカーは日常の風景。ほかにも陸上競技や自転車競技も人気で、オリンピックにも選手を送り出しています。スポーツを通じた平和教育や地域交流の取り組みも行われています。
主食はウガリ(キャッサバやトウモロコシの練り物)や豆ごはん、バナナ料理。これに野菜の煮物やピーナッツソースが加わります。肉や魚はごちそうとして、特別なときに登場。シンプルだけど味わい深い家庭料理が中心です。
都市部ではコンクリートの建物が増えていますが、地方では土壁と藁屋根の伝統家屋が多く残っています。断熱性や通気性を考えた構造になっていて、気候に合った暮らしの知恵が活かされています。
ブルンジは、アフリカ大地溝帯の一部に位置し、湖・山・高原・森がぎゅっとつまった小さな国です。国土の大部分が標高1,500m以上の高原地帯で、起伏に富んだ丘陵や山地が連なっています。このような地形と涼しく過ごしやすい気候から、ブルンジは「アフリカのスイス」とも呼ばれています。
西部にはタンガニーカ湖があり、漁業や水運の中心になっています。小さいけれど地形の変化に富んだ“ミニチュア地球”のような場所です。
熱帯高地気候で、標高が高いため比較的涼しいのが特徴。雨季(2回)と乾季(2回)がはっきりしていて、雨季には緑が一気に広がります。気温は年中安定していて、過ごしやすい気候として知られています。
豊かな自然の中にはサル、鳥類、カバ、レアな植物なども多く、ルシジ国立公園やルヴブ自然保護区などが環境保護の拠点となっています。エコツーリズムや自然教育にも力が入れられていて、観光と保護のバランスが意識されています。
ブルンジは、決して派手じゃないけれど、静かで力強い“誇りの国”。小さな土地の中に歴史、自然、文化、人の温かさがぎゅっとつまっています。知らなかったからこそ、知ってほしい。そんな国です。