
「アフリカの産業って、やっぱり農業が中心なんでしょ?」って思っている人、多いかもしれません。たしかにそのイメージ、あながち間違いじゃないんですが、実は今のアフリカの産業構造はどんどん多様化してきているんです。
一次産業(農業・鉱業)に加えて、サービス業やICT産業なんかもじわじわ成長中。ここでは、そんなアフリカの産業構造の全体像と、どんな分野に比重が置かれているのかを、わかりやすく整理してみましょう。
アフリカの産業をざっくりと理解するには、まず一次産業・二次産業・三次産業という3つのカテゴリーに分けるのが基本です。どの国でもこの3つのバランスで経済が成り立っていますが、アフリカは一次産業の割合が高い国が多いというのが特徴なんです。
とはいえ、国によって事情はさまざま。農業中心の国もあれば、石油や鉱物資源で経済が動いている国、観光や通信産業が成長している国など、実はかなりバラつきがあるんですよ。
アフリカでは今もGDPの20〜30%、就業人口の半分以上が一次産業に関わっている国がたくさんあります。特に農業は、人々の生活に直結する重要な産業。コーヒー、カカオ、綿花、紅茶など、輸出向けの作物(キャッシュクロップ)を栽培している国も多く、世界中にアフリカ産の農産品が広がっています。
もうひとつの主力が鉱業・資源開発。ナイジェリアやアンゴラ、アルジェリアでは石油が、ザンビアやコンゴ民主共和国では銅やコバルトが、南アフリカでは金やダイヤモンドが採れます。これらは国家財政を大きく支える存在ですが、一方で資源に頼りすぎて経済が偏る「資源依存」という課題もあります。
製造業や建設業などの二次産業は、まだ全体的には弱め。例えばアフリカで生産された原材料(カカオや綿花など)が、そのままヨーロッパやアジアに輸出されて、チョコレートや服になって逆輸入されるという構造は今も続いています。
しかし最近では、工場の誘致や国内加工の拡充を目指す国が増えてきました。エチオピアは縫製業、ルワンダは電子機器の組み立てなど、“メイド・イン・アフリカ”の波が少しずつ広がっています。とはいえ、電力や物流インフラの整備がボトルネックになることも多く、まだ本格的な工業化には時間がかかるのが現状です。
一番伸び率が高いのが、三次産業=サービス業です。都市部を中心に、金融、IT、観光、運輸、小売などの分野が急成長中。特に注目されているのがICT分野の拡大です。
ナイジェリアの「ナイラランド」やケニアの「シリコン・サバンナ」と呼ばれるITハブでは、モバイルマネー(例:M-Pesa)やスタートアップ企業が次々に誕生しています。これらは、銀行口座を持たない人でもスマホ1つで送金や支払いができるという革新的な仕組みで、“アフリカ発”のテック成功例として世界から注目されているんです。
さらに、ケニア、モロッコ、南アフリカ、セネガルなどでは観光産業も重要な収入源。野生動物のサファリや古代遺跡、ビーチリゾートなど、世界中から観光客が訪れています。
アフリカ全体で見れば、たしかに農業や鉱業などの一次産業が目立ちますが、国単位で見ると産業構造は本当にバラバラです。気候や資源、歴史的背景、政府の方針などによって、経済の強みがまったく違うんです。
西アフリカ最大の人口と経済規模を誇り、石油収入が国家の柱になっています。特にナイジェル・デルタ地帯では石油採掘が盛ん。ただし、農業も侮れず、カカオやゴマ、キャッサバなどの生産量は世界的にも上位。石油に頼りすぎない経済の多様化が課題とされています。
農業が中心で、特に高品質なアラビカ種のコーヒーは世界的に評価されています。さらに近年では、外国資本の誘致により、衣料品・縫製業を中心とした軽工業が急成長。製造業を通じた雇用創出と輸出拡大をめざしています。
紅茶や花卉(かき)などの農産物が輸出の柱で、野生動物保護区やリゾートを活かした観光産業も堅調。さらに近年ではナイロビを中心に、ITスタートアップが急増しており、「アフリカのシリコンバレー」とも呼ばれるようになっています。
金やプラチナといった鉱物資源に恵まれ、鉱業は今も重要な基盤です。その一方で、自動車産業や食品加工などの工業も発展しており、さらに金融や小売といったサービス業も強いという、アフリカでは珍しい経済の多角化が進んだ国です。
今のアフリカの産業構造は、「資源や農業に頼っているけど、変わろうとしている途中」といえます。工業化の遅れや貧富の差、インフラ不足などの課題は残っていますが、若い人口・都市化・テクノロジーといった強みを活かして“次の産業革命”の舞台になる可能性もあるんです。
アフリカの産業は「遅れてる」じゃなくて、「進化の途中」。資源・農業・テックのハイブリッドで、これからどんなバランスに育っていくのか。今の動きを追うだけでも、未来の経済地図がちょっと見えてきますよ。