
アフリカとロシア――この組み合わせ、あまりピンとこない人も多いかもしれません。でも実は、冷戦時代から続く長い関係があるんです。かつては反植民地運動の後押しをした“味方”として支持されてきたロシア(旧ソ連)ですが、最近では「ロシア離れ」という言葉もちらほら。いったい何が起きているのか? ここでは、アフリカとロシアの歴史的な関係から、近年の動きやロシア離れの背景まで、ざっくり整理してみましょう。
アフリカとロシア(当時はソ連)の関係は、1950〜70年代の脱植民地化の波の中で深まっていきました。
当時、アフリカ各地でヨーロッパからの独立運動が盛り上がっていて、ソ連はその反西側・反帝国主義運動の支援者として多くの国に接近。武器支援・軍事訓練・奨学金による教育支援などを行って、多くのアフリカ諸国と政治的・軍事的なパートナー関係を築いていったんです。
たとえば:
つまりロシアは、アフリカにとって「脱植民地の味方」という立ち位置だったわけです。
冷戦終結後しばらくは関係が薄れていましたが、2000年代以降のプーチン政権になってから、ロシアはアフリカとの関係を再び強化し始めます。
アフリカ首脳会議(ロシア・アフリカサミット)も開催され、以下のような動きが活発になっていました:
このように、ロシアとアフリカは安全保障と資源開発という実利を軸に再接近していたんですね。
ところが最近では、こうした関係にもひずみが出てきています。ロシア離れの背景にはいくつかの要因があるんです。
マリや中央アフリカでは、ワグネルが政府軍と協力して反政府勢力と戦う一方で、民間人の虐殺や拷問の報告も多発。国際的な批判が高まる中、「ロシアは本当に私たちの味方なのか?」と疑問視する声も増えています。
2022年以降のウクライナ戦争で、ロシアは国際的に孤立。アフリカ諸国の中には中立を保つ国もありますが、国連での対ロ非難決議に賛成した国も多く、外交的な距離感がにじみ出ていると言えます。
今のアフリカは“外交モテ期”。中国、トルコ、UAE、インドなど、他にも多くの国がインフラ支援・投資・文化交流で存在感を強めています。ロシアは武器と治安だけに偏った関係になりがちで、長期的な信頼関係を築くのが難しいとも指摘されています。
ロシアとアフリカの関係が完全に終わったわけではないですが、「盲目的に親ロ」だった時代は確実に終わりつつあります。
たとえば:
といったように、各国とも、複数のパートナーとつながりながら、自国の利益を最大化しようとする「多極外交」を志向しているのです。
かつて「反植民地主義の同志」だったロシアも、今のアフリカでは数ある選択肢のひとつにすぎません。安全保障だけでなく、経済・教育・文化――そうした“人のための関係”を築けるかどうかが、これからの鍵なんです。