
「アフリカって今も飢餓が深刻なんでしょ?」というイメージ、持っている人も多いかもしれません。たしかにアフリカの一部地域では今も食糧不足が深刻な問題となっています。でもその一方で、都市部ではファストフードが増えて肥満が問題になっていたり、自国で食料を生産して自立を目指す動きも広がっていたりと、事情はかなり変わってきているんです。ここでは、アフリカの食糧事情の変化・課題・そして今注目されている支援の動きについて、わかりやすく整理してみました。
1980〜90年代のアフリカでは、干ばつや内戦、農業インフラの未整備が原因で、慢性的な食料不足が続いていました。とくにエチオピアの大飢饉(1983〜85年)は、世界的な注目を集め、「アフリカ=飢餓」のイメージを定着させるきっかけにもなりました。
当時の援助の中心は「食料を届けること」
つまり「とにかく今すぐ食べてもらう」という緊急支援型でした。でもそれは根本的な問題を解決するものではなく、食べ終わったらまた足りないという“その場しのぎ”になりがちだったんです。
現在のアフリカの食糧事情は、ひと言では言い表せません。というのも、国や地域によってまったく事情が違うからです。
たとえば東アフリカのソマリアや南スーダンでは、干ばつや紛争の影響で飢餓状態が深刻。一方で、ナイジェリアやケニア、南アフリカの都市部では、高カロリー食品の普及で肥満や生活習慣病が増えているという現象も起きています。
つまり今のアフリカは、「食べ物が足りない地域」と「食べすぎる地域」が共存しているという、すごく複雑な状況なんです。
アフリカでの食糧不足は、単に「作物が育たない」からではありません。むしろ構造的な問題が大きく影響しています。
例えば、農業の生産性が低いのは、灌漑設備が整っていなかったり、種や肥料の品質が安定しなかったりするせい。さらに、作っても市場に運べない物流の問題や、農民が十分な利益を得られない流通構造もあります。
加えて、気候変動の影響で雨のパターンが読めず、干ばつや洪水が年々増加中。そこに紛争や政情不安が重なると、一気に食料が足りなくなるんです。
以前は「とにかく食料を運ぶ」というスタイルが中心だった支援も、最近では持続可能性を重視した支援に変わってきています。
たとえば今注目されている支援の形には、以下のようなものがあります。
こうした支援は、一時的な「与える支援」ではなく、「育てて増やす支援」にシフトしていて、アフリカの人々が自分たちの力で食料を安定的に確保できる仕組みを作ることが目的なんです。
アフリカの食糧問題はまだまだ課題だらけ。でも希望もたくさんあります。たとえば、サバンナに適した雑穀(ソルガム、ミレット)や根菜(キャッサバ)の研究が進んでいて、環境に合った農業の道が見えてきています。
さらに、都市部では地元食材を使った新しいレストラン文化や、若者たちによる農業スタートアップも増えてきていて、「農業=カッコいい仕事」って空気も少しずつ広がってきています。
アフリカの食糧事情は、「足りない」から「どう増やすか」、そして「どう育て続けるか」へと変わりつつあります。問題はまだ多いけれど、未来に向けた芽はしっかりと地面の下で伸びている。それを支えるのが、私たちの“知ること”や“関心を持つこと”なのかもしれません。