
「アフリカ」って聞くと、ゾウ、ライオン、キリン…って感じで、動物の宝庫なイメージがありますよね。でも、よく考えてみると熊(クマ)って見かけないと思いませんか?日本や北米、ヨーロッパでは森の主みたいな存在なのに、なんでアフリカには熊がいないのか? これはけっこう面白い疑問なんです。ここでは、熊とアフリカの関係を生態、進化、歴史の観点から探ってみましょう!
「アフリカにクマはいない」とよく言われるんですが、かつてはいました。それが「アトラスグマ」という種類で、北アフリカのアトラス山脈を中心に生息していたんです。ローマ時代にはコロッセオの剣闘試合に使われたりしていて、人間との接触記録もばっちり残っているんですよ。
でもこのアトラスグマ、19世紀ごろには絶滅してしまったと言われています。原因は主に:
つまり、アフリカにもクマはいたけど、北の一部地域に限られていて、今では完全に絶滅したというのが実情なんです。
南部や中部、東アフリカ――いわゆる「サバンナ地帯」にはもともとクマは生息していませんでした。なんでかというと、それはクマという動物の生態と進化の方向性に関係があるんです。
つまり、クマが好む「森の環境」が広く分布していなかったアフリカでは、そもそも進化・定着しにくかったというわけです。
クマは北半球起源の動物で、進化のルーツはヨーロッパ〜アジアにあります。そこからさまざまな種に分かれていって、
などに分布。つまりクマの多くは寒冷〜温暖な森で生きるタイプで、アフリカのような開けたサバンナや熱帯の乾燥地帯には向いていなかったんですね。
クマって「なんでも食べて、力も強くて、森のボス」みたいなポジションの動物ですよね。アフリカにもそんな役割を担う動物はちゃんといます。
つまり、生態系のバランスを取る役割はクマの代わりに別の動物が担っていたということなんです。これは地域ごとに異なる“生態的ニッチ”がある、ってことのいい例ですね。
面白いことに、人間とクマの関係性があまりなかったアフリカでは、文化や神話の中にもクマがほぼ登場しないんです。北欧神話や日本の民話にはクマがよく登場しますが、アフリカ神話では代わりにライオンやジャッカル、カメなどが多いんですね。
つまり、動物との付き合いが文化にも影響しているってこと。クマがいなかったアフリカでは、その分他の動物が象徴的な存在になっていったんですね。
アフリカにクマがいないのは、「たまたまいなかった」のではなくて、地理・気候・進化の流れがそうさせた、という必然だったんです。今はもう絶滅してしまったアトラスグマの存在も含めて、クマとアフリカの関係は意外とドラマチック。動物の“いない理由”って、実は“いる理由”と同じくらい奥が深いんですね。