アフリカで工業化が進まない理由とは?

アフリカの産業って聞くと、まず浮かぶのは農業とか資源産業じゃないでしょうか?

 

実際、アフリカの多くの国では、今でも農業や鉱業が経済の中心になっていて、工業(製造業)はまだそれほど発展していないのが現実なんです。

 

でも、それって単に「技術がないから」とか「努力不足だから」ってわけじゃなくて、歴史的な背景・経済構造・国際関係など、いろんな理由が絡み合っているんですよ。

 

この記事では、アフリカにおける産業の特徴をおさえながら、なぜ工業化がなかなか進まないのかについて、わかりやすく解説していきます!

 

 

農業と資源が産業の主役

アフリカの多くの国で一番多くの人が働いているのは農業です。 たとえばエチオピアやマリなど、国民の6〜7割が農業従事者という国もあります。

 

また、ナイジェリアやアンゴラ、南アフリカなどでは石油や鉱物資源の輸出が経済の中心。つまりアフリカでは、一次産業(自然から得られるもの)が強いんですね。

 

でもここがポイントで、これらの産業は加工や製造をあまり必要としないため、工業が育ちにくい土壌になってしまっている面もあるんです。

 

植民地時代の“モノカルチャー経済”の名残

アフリカの産業構造が偏っている理由のひとつが、植民地時代の影響です。

 

当時のヨーロッパ列強は、アフリカを「原料の供給地」として利用していました。

 

たとえば――

 

  • カカオやコーヒー → ヨーロッパでチョコや缶コーヒーに加工
  • 綿花 → ヨーロッパで布にして再輸出
  • 金や銅 → 欧州の産業に供給

 

アフリカには加工や製造のための工場をあえてつくらなかったんですね。

 

この「輸出用原料だけ作る」という構造が、今でも多くの国で続いていて、産業の多様化が遅れる要因になっています。

 

 

インフラ不足が“工場をつくりにくい”

工業を育てるには、道路、電力、水道、輸送などインフラの整備が欠かせません。

 

でもアフリカでは、広大な国土を持ちながら、都市部と農村部の格差が大きく、特に内陸国や乾燥地帯では電力が安定しないことも。

 

  • 「工場をつくっても電気が止まる」
  • 「製品を運ぶ道路がない」
  • 「港が遠すぎて輸送にコストがかかる」

 

――こうした状況では、投資する側も慎重になりますよね。

 

技術・人材・資本の不足

工業には専門的な知識や技術を持った人材が必要です。

 

でもアフリカでは、教育の機会がまだ限られている国も多く、製造技術を学べる学校や研修機関が少ないことが課題となっています。

 

また、初期投資が大きくかかるため、国内に十分な資本がないというケースも多いです。結局、外国企業に依存する形になりやすく、そのぶん現地の技術が育ちにくいという悪循環に陥ることも…。

 

グローバル経済の“ルール”の中で不利になりがち

現代の世界経済はすでに強い産業を持つ国が有利な仕組みになっている面があります。

 

たとえば――

 

  • 加工製品には関税がかかるけど、原料にはかからない
  • アフリカ産の加工品より、中国や欧州の製品のほうが価格競争力が高い
  • 国際基準をクリアするための技術や設備が整っていない

 

こうした“見えない壁”によって、アフリカ産の製品が市場で不利になることも少なくありません。

 

アフリカの産業が工業化しにくい背景には、歴史・経済構造・技術・インフラといった多くの要素が絡んでいるんですね。でもだからこそ、教育の充実や地域ごとの強みを活かした産業戦略が、これからのカギになってくるはずです。