モーリシャスとはどんな国?「インド洋の貴婦人」の特徴と成り立ち
このページでは、「インド洋の貴婦人」として知られるモーリシャスの美しい自然と多様な文化が融合した社会、フランスとイギリスによる植民地支配の歴史、インド系住民を中心とした多民族国家の成り立ち、観光と金融を柱とする経済、そして政治的安定と高い教育水準を通じて、モーリシャスという国の成り立ちと特徴をわかりやすく解説しています。

モーリシャスとはどんな国?「インド洋の貴婦人」の特徴と成り立ち

モーリシャスの国旗

赤は独立、青はインド洋、黄は光と未来、緑は農業と自然を象徴している

 

モーリシャスの場所

インド洋に浮かぶ島国で、マダガスカルの東、アフリカ本土からは南東方向に位置する

 

基本情報
正式名称 モーリシャス共和国
首都 ポートルイス
面積 約2,040平方キロメートル
人口 約130万人(2024年推定)
公用語 英語(実務)、フランス語、モーリシャス・クレオール語
通貨 モーリシャス・ルピー(MUR)
地理 インド洋に浮かぶ島国。火山性の地形と美しいビーチが特徴。
歴史 1968年にイギリスから独立。安定した民主主義国家。
経済 観光、金融、繊維、ITが主要産業。経済自由化が進み、アフリカで最も発展した国の一つ。
文化 インド系が多数派で、多文化共生が特徴。ヒンズー教、キリスト教、イスラム教が混在。
国際関係 アフリカ連合、英連邦加盟国。

 

モーリシャス」って、南国のリゾートってイメージが強いかもしれませんよね?青い海、白い砂浜、ゆったりした時間――もちろんその通りなんですが、実はそれだけじゃないんです。インド洋に浮かぶ小さな島国なのに、アフリカ・ヨーロッパ・インド・中国の文化がミックスされた、まるで世界の縮図みたいな国。それに、アフリカで最も安定した民主国家のひとつでもあるんですよ。ここではそんなモーリシャスを、「歴史・社会・文化・地理」の視点から見ていきましょう。

 

 

どんな歴史?

モーリシャスの歴史はちょっと変わっていて、もともとは人のいない島だったんです。そこに最初にやってきたのは16世紀のポルトガル人、次にオランダ人(有名なドードー鳥を絶滅させたのもこの時期)。その後フランス、イギリスと植民地が次々に変わっていきます。

 

フランス統治下ではサトウキビ農園とアフリカ人奴隷が導入され、イギリス統治後は奴隷制度が廃止されて代わりにインドから労働者が大量に移住。この流れが今の多民族・多文化国家モーリシャスの基礎になったんです。

 

1968年に独立し、1992年には共和制へ。独立後は比較的平和で安定した政権運営が続き、選挙による政権交代、報道の自由、法の支配がきちんと守られてきた、アフリカの成功例とも言われています。

 

どんな社会?

モーリシャスの社会をひとことで言うなら、「文化のるつぼ」。インド系、アフリカ系、ヨーロッパ系、中国系などが共に暮らしていて、多様性が当たり前なんです。それでも大きな対立が少ないのは、教育や法制度、宗教の自由がしっかり保障されているからかもしれません。

 

政治|多文化をまとめ、制度の強さを示す穏健統治

議院内閣制の共和制で、大統領は象徴的な存在、実権は首相にあります。選挙は定期的に行われ、野党もきちんと機能しています。アフリカ諸国の中では汚職が少なく、法制度が強いのも大きな特徴で、国際的な評価も高いんですよ。

 

経済|多角化で成長軌道に乗る中進国モデル

昔はサトウキビ農業が中心でしたが、今は観光、金融、ICT、繊維産業などが発展し、多角的な経済構造に成功した数少ないアフリカ国家です。一人当たりGDPも比較的高く中進国モデルとして国際機関からも注目されています。

 

宗教|多宗教共存を促す寛容と祝祭の連帯

ヒンドゥー教が約半数で、これはインド系移民の影響。キリスト教(特にカトリック)、イスラム教、仏教も共存していて、宗教間の対話が進んでいる社会です。祝日にはそれぞれの宗教行事が全国的に祝われるのも素敵な文化ですよ。

 

言語|植民地言語とクレオールが交差する多言語社会

公用語は英語ですが、フランス語も広く使用されていて、日常的にはモーリシャス・クレオール語(仏語ベースのピジン言語)がいちばんよく話されます。さらにヒンディー語や中国語も使われる多言語社会で、教育では英語・フランス語のバイリンガルが基本です。

 

 

どんな文化?

モーリシャスの文化は、祭りとごはんとダンスと音楽! それぞれのルーツがうまくミックスされていて、ひとつの文化に縛られない自由さと、お互いを尊重し合う空気感が感じられるんです。

 

美術|多彩なルーツが奏でるカラフルな工芸と現代表現

伝統的な美術よりも、民芸品やカラフルな手工芸、現代アートがよく見られます。インド風の装飾、中国の影響を受けた陶器、アフリカ風の木彫り――まさに混ざり合った美のハーモニー。観光地では絵画やクラフト市も盛んです。

 

スポーツ|多民族が熱狂する球技と伝統が息づく競技場

サッカーとバレーボールが人気で、学校や地域大会でよく見られます。インド系住民の影響でクリケットも根づいていて、週末には地元の公園で試合が行われることも。オリンピックではボクシングや陸上でも活躍しています。

 

食事|インド・中華・クレオールが融合する味覚の祭典

インド料理、中華、クレオール料理、フランス料理がごちゃ混ぜになっていて、屋台でも家庭でも味のバリエーションがすごいんです。人気メニューはダルプリ(豆のクレープ)、ビリヤニ、炒麺、魚のグリルなど。スパイスを効かせた味付けが多くて、辛すぎず、香り高いのが特徴です。

 

建築|歴史と信仰が混ざる街並みに刻まれた多様性

植民地時代のフランス様式の建物が都市部に多く残っていて、観光の見どころにもなっています。ほかにもヒンドゥー寺院、モスク、カトリック教会、中国風の門など、宗教の多様性が街並みにも現れているんです。

 

 

どんな地理?

モーリシャスはアフリカ大陸の東、マダガスカルの東約900kmのところにある火山島。面積は日本の高知県くらいしかないけど、山あり、森あり、海あり超バランス型の自然環境がそろってるんです。

 

地形|火山島の起伏が生む高原から海岸までの絶景

中央に高原地帯があり、その周囲を低地と海岸線がぐるりと取り巻いています。火山島なので起伏に富んだ地形が多く、滝や熱帯植物の森、溶岩台地も見どころのひとつ。ブラックリバー渓谷国立公園はハイキングにも人気です。

 

気候|サイクロンとスコールが彩る一年中の温暖気候

熱帯海洋性気候で、年間を通して温暖。夏(11〜4月)は暑く湿度が高く、サイクロンが来ることもありますが、冬(5〜10月)は涼しく快適で、観光にぴったりの時期。雨はスコール型で、天気の変化が早いのも特徴です。

 

自然|小島に詰まった生物多様性と保護意識の象徴

海はもちろん、山や森も超豊か。七色の大地、レユニオン島との海洋保護区、絶滅危惧種の植物など、小さな島にギュッと自然の宝物が詰まってるんです。かつていたドードー(飛べない鳥)は絶滅しましたが、その教訓から今では自然保護への意識がとても高い国でもあります。

 

モーリシャスは「楽園」だけじゃない、知的で多文化な島国。観光だけじゃもったいない!その裏側にある歴史や人々の暮らし、文化の混ざり合いを知ると、もっともっとこの国が面白く見えてきます。