アフリカに動物が多いのはなぜ?生物多様性を支える5つの理由

「アフリカ=動物の王国」ってイメージ、ありますよね。サバンナを駆けるライオン、ヌーの大群、のんびりしたゾウやキリン――まるで大自然のショーケースのよう。でも、そもそもなぜアフリカにはあれほど多様で野性的な動物たちが今も生き残っているのでしょうか?

 

これは偶然ではなく、地理・進化・環境・人間の歴史など、いくつもの要因が重なった結果なんです。ここでは、アフリカが“動物の楽園”であり続ける理由を5つの視点で解説します。

 

 

1.地理と気候の多様性が“動物のすみ分け”を可能にしている

アフリカは赤道をまたぐ形で広がっていて、熱帯雨林から砂漠、サバンナ、高山地帯、湿地まで、あらゆる気候帯が存在します。これにより、生態系の“すみ分け”がしやすく、多種多様な動物が棲み分けて暮らせるんですね。

 

例えばゴリラやオカピはコンゴの熱帯雨林、ゾウやライオンはサバンナ、ラクダは砂漠――といった具合に、それぞれが自分の得意な環境で生き残れる仕組みが整っているのです。

 

2.アフリカは“進化の舞台”そのものだった

人間を含む哺乳類の多くはアフリカで進化したとされています。つまり、ここは生物進化のふるさとのような場所。ゾウやキリン、サイなどの大型草食動物もこの大地で生まれ育ち、それに適応したライオンやチーターといった肉食動物も同じ環境で進化してきました。

 

「捕食者と被食者の進化的せめぎ合い」が、アフリカの動物たちの身体能力や知恵を押し上げてきたんです。

 

 

3.氷河期の影響を“あまり受けなかった”というラッキー

実は、過去の氷河期にヨーロッパやアジア、北アメリカでは大型哺乳類の多くが絶滅しました。マンモス、サーベルタイガー、巨大ナマケモノなど、気候の急変と環境の消失で次々と姿を消していったんです。

 

でもアフリカは赤道付近に位置していたため、気候が比較的安定していて、森林やサバンナが完全になくなることはありませんでした。だから生き残るチャンスが多く、大型動物が今も残っているんです。

 

4.農業や都市化が“遅れていた”ことによる自然の保全

アフリカでは、ヨーロッパやアジアに比べて都市化・農業開発が遅かったという背景もあります。つまり、人間の手によって自然が破壊された規模が他の大陸より少なかったんです。

 

そのため、広大なサバンナや熱帯雨林など、動物たちが生きるための空間が今も残っているという点で、まさに“奇跡の生存空間”とも言える環境が維持されてきました。

 

5.文化的にも“共存”の歴史があった

多くのアフリカ地域では、動物は単なる資源ではなく、精霊や神話と結びついた特別な存在として見られてきました。たとえばゾウは祖霊の化身、ライオンは王の守護者、ヒョウは神聖な使い――というように、動物を敬う文化が今も生きています。

 

もちろん密猟や違法取引の問題もありますが、それでも現地の人々による動物保護や共同管理の取り組みが根付いている地域も多く、文化と自然がゆるやかにつながっているのも、動物が生き残ってきた大きな理由のひとつです。

 

アフリカが動物であふれているのは、単なる「自然が豊かだから」ではなく、気候・地理・進化・歴史・文化――すべてが絶妙に重なっているからなんです。だからこそ、アフリカの自然を見るときは、動物たちだけじゃなく、そこにある“大地のドラマ”にも注目してみてくださいね。