
「アフリカって、なんでこんなに言語が多いの!?」そう思ったことがある人、きっと少なくないはずです。
実際アフリカ大陸には、なんと約2,000もの言語が存在していて、世界の言語の3割近くがこの地域に集中しているんです。一つの国で100以上の言語が話されているところもザラ。
「どうしてそんなことに?」という素朴な疑問に、ここでは歴史・地理・社会の3つの視点からお答えします!
アフリカの地形って、実はかなりバラバラなんです。 サハラ砂漠みたいな広大な乾燥地帯、コンゴ盆地のような密林、大地溝帯の山と谷、ナイルやニジェールといった巨大な川…。
こうした自然の障壁が多いと、集団同士の交流がしにくくなりますよね?その結果、村や部族ごとに独自の言語や方言が育ちやすい環境になっていたんです。
つまり、アフリカの言語の多さは、地形そのものが“言語を分けた”っていう面があるんですね。
もうひとつの理由は、アフリカでは昔から定住よりも移動を重視した生活文化が多かったこと。
たとえば――
こうした人々の移動は、新しい土地で新しい言語や方言が派生するきっかけになります。
また、アフリカでは言語を“文字より音”で記憶・伝承する文化が強く、書き言葉がなかった分、地域ごとの口伝の違いが固定されやすかったという特徴もあります。
アフリカにおける言語使用状況を示した色分け地図
出典:Wikimedia Commons / Public domainより
アフリカの言語の複雑さは、ヨーロッパによる植民地支配でもさらに加速しました。
例えば――
こうして欧米由来の公用語と伝統的な現地語が“共存・並立”するスタイルが生まれ、言語の数はそのままに使い分けの社会構造ができあがっていったんです。
今でも、家庭で使う言葉・学校で使う言葉・仕事で使う言葉がバラバラという人はたくさんいます。
最後に忘れてはいけないのが、アフリカの人々にとって言語=自分たちの誇りだということ。
「私たちは〇〇語を話す」ということが、民族や地域のアイデンティティそのものであり、外から来た言語(英語・フランス語など)とは役割がまったく違うんですね。
だからこそ、少数派の言語でもしっかり守ろうとする意識が強く、多言語が“競争”ではなく“共存”する社会が今も続いているのです。
アフリカに言語がやたら多いのは、自然の地形、人々の移動、歴史の重なり、そしてそれぞれの文化が大切にされてきた証なんです。「多すぎてややこしい」じゃなくて、「多いからこそ豊か」――そんなふうに、アフリカの言葉の世界を見てみたいですね。