マラウイとはどんな国?「アフリカの温かい心」の特徴と成り立ち
このページでは、「アフリカの温かい心」として知られるマラウイの人々の親しみやすさと豊かな人間性、マラウイ湖を中心とした自然環境、イギリス植民地時代からの独立の歴史、多民族国家としての文化の多様性、そして農業中心の経済や教育・保健分野での取り組みを通じて、マラウイという国の成り立ちと特徴をわかりやすく解説しています。

マラウイとはどんな国?「アフリカの温かい心」の特徴と成り立ち

マラウイの国旗

黒は国民、赤は独立闘争の血、緑は自然、昇る太陽はアフリカの新時代の始まりを象徴する

 

マラウイの場所

東アフリカ内陸部に位置し、北と東にタンザニア、南にモザンビーク、西にザンビアと接する

 

基本情報
正式名称 マラウイ共和国
首都 リロングウェ
面積 約11.8万平方キロメートル
人口 約2,100万人(2024年推定)
公用語 英語、チェワ語
通貨 マラウイ・クワチャ(MWK)
地理 アフリカ南東部の内陸国で、マラウイ湖に面する。山岳、湖、渓谷の自然が豊か。
歴史 1964年にイギリスから独立。長期独裁を経て民主化が進行。
経済 農業(タバコ、茶、砂糖)が主力。貧困層が多く、教育・医療の整備が課題。
文化 音楽と舞踊が盛ん。民族的にはチェワ人が多数を占める。
国際関係 アフリカ連合、SADC加盟国。

 

マラウイ」って、名前は知っていても場所や特徴まではなかなか知られていない国かもしれません。でも実はこの国、「アフリカの温かい心(The Warm Heart of Africa)」って呼ばれてるんです。なぜかというと、人々の優しさ、自然の穏やかさ、ゆったりした暮らしがギュッとつまった国だから。ここではそんなマラウイを「歴史・社会・文化・地理」の視点から、ほっこり覗いてみましょう。

 

 

どんな歴史?

マラウイの歴史は、大湖地域の交易ルートの一部として発展してきたところから始まります。もともとバントゥー系の人々が広がり、マラビ帝国などの王国が成立。アラブやポルトガルとの貿易も盛んでした。

 

19世紀にはスコットランドの宣教師デイヴィッド・リヴィングストンが訪れたことでヨーロッパの関心が高まり、その後イギリスの保護領「ニヤサランド」として植民地化。1964年に独立して「マラウイ共和国」となり、初代大統領ヘイスティングス・バンダが権力を握りました。

 

1990年代に入って民主化が進み、多党制が導入。現在は比較的安定した民主政治が続いていて、政権交代も平和的に行われています。

 

どんな社会?

マラウイの社会を一言で言うなら、「人との距離が近い」国。経済的には決して豊かとは言えませんが、お互い助け合うコミュニティが当たり前のようにあって、笑顔とあいさつが日常を彩っているんです。

 

政治|司法と市民が実現した平和的政権交代

大統領制の共和国で、複数政党による選挙が定着しています。2020年には選挙不正に対する抗議の中で再選挙が実施され、野党のチャクウェラ氏が勝利。これはアフリカでも珍しい、司法と市民の力による平和的な政権交代として大きな注目を集めました。

 

経済|雨季の恵みと自給支援が支える暮らし

農業が経済の柱で、特にタバコ、茶、砂糖、トウモロコシが主要作物。農村人口が多く、雨季の出来がその年の暮らしを左右するという、自然に寄り添った経済構造です。貧困率は高いですが、マイクロファイナンスや農村支援の取り組みも進められています。

 

宗教|祈りと自然が交差する共存文化

キリスト教(約80%)とイスラム教(約13%)が主ですが、宗教間の対立はほとんどなく、穏やかな共存が続いています。伝統的な精霊信仰と組み合わさっている人も多く、日常の中に自然と祈りがある文化です。

 

言語|英語とチェワ語が紡ぐ共通語の絆

公用語は英語とチェワ語(ニャンジャ語)。チェワ語は日常生活の中で広く使われていて、国民の多くが話せる“共通語”になっています。教育や公式文書では英語が用いられており、二言語を自然に使い分ける社会です。

 

 

どんな文化?

マラウイの文化は、素朴であたたかく、暮らしに寄り添っている感じ。音楽や踊りは生活の一部だし、布や工芸にも地域ごとの味わいがあって、暮らしの中にアートが息づいているんです。

 

美術|暮らしを彩る手仕事アート

木彫り、バスケット、ビーズ、布製品など、手仕事の文化が豊か。市場や道ばたでは手作りの小物が売られていて、観光客にも人気です。自然や動物、村の風景をテーマにした作品も多く、“語るようなアート”が特徴です。

 

スポーツ|裸足サッカーに宿る希望の炎

サッカーが断トツで人気。代表チーム「フレームズ(炎)」の試合は町中で話題になります。子どもたちが裸足でボールを蹴る姿もよく見かけて、サッカーが希望や夢の象徴になってるんですね。

 

食事|湖の恵みと素朴な優しさ

主食はンシマ(トウモロコシの粉を練ったもの)で、これに魚の煮込み、野菜、豆を合わせて食べます。特にマラウイ湖の淡水魚(チャンボやウスパ)は地元の誇り。味は素朴だけど、どこか懐かしいような優しい味がします。

 

建築|伝統素材が息づく家並み

農村部では土壁と藁屋根の伝統的家屋が今も一般的。気候に合った造りで、夏は涼しく冬は暖かいんです。都市部では近代的な建物も増えてきていますが、自然素材と人の知恵が活かされた建築もまだまだ健在です。

 

 

どんな地理?

マラウイは東アフリカの内陸国で、特徴的なのは国の約3分の1を占める「マラウイ湖」。その存在がこの国の暮らしと文化、自然を大きく支えているんです。

 

地形|湖と高原が織りなす多様風景

南北に細長い国土で、中央部に高原地帯、そして東側には巨大なマラウイ湖が広がっています。山、丘、谷、湖が入り混じった地形で、小さいけど表情豊かな風景がたくさんあります。

 

気候|雨季と乾季が刻む生活リズム

亜熱帯気候で、雨季(11〜4月)と乾季(5〜10月)がはっきり分かれています。雨季は緑があふれて豊かですが、時に洪水や作物の被害も。乾季は旅行にもおすすめの時期で、湖沿いでは特に過ごしやすい気候です。

 

自然|淡水魚と草原が育む生態系

マラウイといえばマラウイ湖世界でも有数の淡水魚の宝庫で、シクリッドという色鮮やかな魚がたくさん。リウォンデ国立公園ニカ国立公園などではゾウ、カバ、鳥類も見られて、小さなサファリ天国として注目されています。

 

マラウイは、派手じゃないけど、人のあたたかさと自然のやさしさに満ちた国。知れば知るほど、心がじんわりあったかくなる――そんな「アフリカの心臓」がここにあります。