アフリカにおけるゴリラの生息地は?保護活動が必要な理由

アフリカのゴリラの生息地

アフリカのゴリラは、主に中央アフリカの熱帯雨林地帯に生息しています。森林伐採や密猟の影響で生息数が減少し、保護活動が急務とされています。本ページでは、ルワンダやコンゴ民主共和国などの生態系保全を理解する上で重要なこのテーマについて、より深く探っていこうと思います。

アフリカにおけるゴリラの生息地は?保護活動が必要な理由

「ゴリラってアフリカにいるんだよね?」って漠然と思っている人、多いと思います。でも実は、アフリカのどこにでもいるわけじゃなくて、限られた熱帯雨林地帯にしかいないんです。そして今、そのゴリラたちが絶滅の危機に瀕していて、本気の保護活動が世界中で行われているんですよ。ここでは、アフリカのゴリラたちの生息地、種類、そして保護が必要な理由をわかりやすく紹介します。



アフリカに生息するゴリラの種類と分布

アフリカにおけるゴリラの生息分布図(4亜種とコンゴ川)

アフリカのゴリラ生息分布(4亜種とコンゴ川)
西ゴリラと東ゴリラの4亜種の分布域を色分けし、境界となるコンゴ川との位置関係がわかる地図。

出典:『Range of the 4 gorilla subspecies and the Congo River』-Photo by Textbook Travel/Wikimedia Commons CC BY-SA 4.0より


ゴリラは、アフリカの熱帯雨林にだけ生息する霊長類
分類上はヒトに最も近い動物のひとつで、社会性が高く、群れで行動する特徴を持ちます。見た目は大きくて力強いけど、実は性格はおとなしくて草食中心。繊細な動物なんです。


そしてアフリカには大きく分けて、ニシゴリラとヒガシゴリラの2種類(それぞれに2亜種)のゴリラが生息しています。それぞれの特徴は以下の通りです。


ニシゴリラ(Western Gorilla)

ニシローランドゴリラの横顔

ニシローランドゴリラ
熱帯林にすむ西方系ゴリラの亜種で、厚い胸板と短い鼻先が特徴。群れで暮らし、果実や葉を中心に食べる。

出典:『Gorilla gorilla gorilla (Gorille des plaines de l'Ouest)』-Photo by William Crochot/Wikimedia Commons CC BY-SA 4.0より


ニシローランドゴリラ

最も個体数が多い亜種で、コンゴ共和国、ガボン、カメルーンなどの低地熱帯林に広く生息しています。とはいえ、数が多いとは言っても安心はできません。密猟や森林伐採の影響で、見えないところでジワジワと減っているのが現状です。霧がかかった森の奥でひっそり暮らす彼らの姿は、まさに「森の守り神」みたいな存在。


生息地の密度は高くないため、同じ森に住んでいても群れ同士がめったに出会わないことも。そのぶん、一つひとつの群れをどう守るかが、保護活動のカギになってきます。


クロスリバーゴリラ

ナイジェリアとカメルーンの国境付近という、ほんの限られたエリアにしかいない最も希少なゴリラ。野生下に残っているのは300頭以下とも言われていて、まさに「幻のゴリラ」と呼ばれるほど。


標高の高い森や急斜面を好んで暮らしていて、見つけるのもひと苦労。人目を避けるように生活しているため、観察記録もごくわずかです。人間の開発と距離を置いて生きてきたゴリラが、逆にその静けさゆえに見過ごされてしまう──そんな皮肉な現実もあるんです。


ヒガシゴリラ(Eastern Gorilla)

マウンテンゴリラの採食(ウガンダ・ブウィンディ原生国立公園)

マウンテンゴリラ
東アフリカの高地林にすむ大型類人猿で、群れで行動し植物中心の食性をもつ。ブウィンディ原生国立公園は現存個体の半数以上が暮らす保護地として知られる。

出典:『Mountain gorilla (Gorilla beringei beringei) eating』-Photo by Charles J. Sharp/Wikimedia Commons CC BY-SA 4.0より


マウンテンゴリラ

ルワンダ、ウガンダ、コンゴ民主共和国の山岳地帯に生息していて、特に有名なのがヴィルンガ山地やブウィンディ原生国立公園といった高地の森。標高2,500メートルを超えるような霧深い山の中で暮らしていて、力強さと繊細さを併せ持つ存在です。


寒さにも強く、分厚い毛で体を覆っているのが特徴。その美しい姿に魅了されて、世界中から観光客が集まるようになりましたが、そのぶん人との距離も近づきすぎてしまい、病気やストレスといった新たなリスクも増えています。だからこそ、“見る”ことと“守る”ことのバランスがとても大切なんですね。


ヒガシローランドゴリラ

コンゴ民主共和国の深い森林に分布していて、別名「グラウアーゴリラ」とも呼ばれます。マウンテンゴリラよりも体が大きく、がっしりした印象だけど、性格はおだやかで群れの結びつきもとても強いんです。


ただ、鉱物資源の採掘や森林の伐採によって生息地が年々狭まっていて、近年では絶滅危惧種に指定されるほど数が減少しています。森の奥深くで静かに暮らす彼らの存在は、まさに“消えゆく静けさ”の象徴とも言えるかもしれません。


それぞれ特定の国立公園や保護区に集中して生息していて、地球上のどこでも見られるわけじゃないんです。まさに「その場所でしか会えない存在」なんですね。



絶滅危惧の理由:なぜ保護活動が必要なの?

ブウィンディで巡回するレンジャー(ゴリラ保護)

ブウィンディのゴリラ保護レンジャー
ウガンダのブウィンディ原生国立公園で、絶滅危惧のマウンテンゴリラを密猟や生息地破壊から守るために巡回する保護員の姿。

出典:『Ranger in Bwindi Impenetrable National Park』-Photo by Sal Roux/Wikimedia Commons CC BY-SA 4.0より


ゴリラが置かれている状況は、はっきり言ってかなり深刻。国際自然保護連合(IUCN)によると、すべてのゴリラは絶滅危惧種に指定されています。つまり、「放っておけばいなくなってしまうかもしれない」ほど、危機的な状況なんです。その理由は、いくつもの問題が絡み合っているからなんですよ。


森林伐採

ゴリラの住処である熱帯雨林が、農地への転用や商業目的の伐採によって急速に失われています。 木材は輸出用の商品にもなるため、企業や個人が森に入り込み、生態系を壊しながら開発を進めてしまうんです。 森がなくなれば、ゴリラは食べ物も安全な場所も失い、生存が難しくなります


密猟

ゴリラは「ブッシュミート」として食肉にされたり、体の一部が伝統的な薬やお守りとして使われることもあります。 また、赤ちゃんゴリラは違法なペット取引の対象となり、高額で売買されるため、母ゴリラが殺される事件もあります。 いずれも国際法で禁止されている行為ですが、貧困や監視体制の不備から密猟は後を絶ちません


感染症

ゴリラは人間と遺伝的に近いため、人間の風邪やインフルエンザで命を落とすこともあります。 観光客や研究者との接触が感染源になることもあり、特にコロナ禍では感染リスクが深刻化しました。 だからこそ、保護区ではゴリラに近づく距離やマスク着用などのルールが設けられているんです。


紛争地域との重なり

ゴリラの多くは、コンゴ民主共和国やルワンダなど、政情が不安定な地域に生息しています。 そうした場所では内戦や武装勢力の存在によって、レンジャーの命が危険にさらされることも。 ゴリラだけでなく、それを守る人々の安全すら確保できないのが、今の現実なんです。


このように、自然環境・人間の活動・政治不安が複雑に絡み合って、ゴリラの生存が脅かされているんです。


どんな保護活動が行われているの?

現在、多くの国際団体や現地のNPOがゴリラの保護に取り組んでいます。その活動は多岐にわたります:


  • 国立公園の整備と管理(例:ヴィルンガ国立公園、ボウンド・ドゥ・カンパ国立公園)
  • レンジャーの育成と支援:武装密猟者に対抗できるように訓練
  • エコツーリズムの推進:観光収入を地元経済と保護活動に循環させる仕組み
  • 現地住民との共生モデルの構築:保護=制限ではなく、住民にも利益があるように調整


特にルワンダやウガンダでは、マウンテンゴリラ観察ツアーが世界的に有名で、観光資源としての価値も高まっています。


保護することの意味って?

ゴリラを守るということは、単に「動物がかわいそうだから」だけじゃありません。


それは──


  • 生態系のバランスを守ることにつながります。たとえばゴリラは、果物を食べて種を遠くまで運ぶ“森の庭師”のような存在。彼らがいることで、森が再生し、他の動物たちも生きていけるんです。
  • 観光資源として地域の発展にもつながる面も大きいです。ルワンダやウガンダでは、ゴリラを見に来るエコツーリズムが村の収入源となり、地元の人々の暮らしも支えています。
  • 人間と他の生命との共存の在り方を問い直すきっかけにもなります。森の奥で静かに生きるゴリラたちの姿は、自然との距離や関わり方について、私たちにたくさんの気づきをくれるんですよ。


──つまり、ゴリラを守るということは、森を守り、人の未来を守ることにもつながっているということ。それは「かわいいから」だけじゃ終わらない、大きな意味を持った行動なんです。


アフリカのゴリラは、私たち人間とすごく近い存在。でもその命は、今まさに危機に瀕しています。だからこそ、「守る」という選択は未来への責任でもあるんです。