アフリカの携帯電話普及率が高い理由とは?

アフリカの携帯電話普及率が高い理由

アフリカで携帯電話が急速に普及したのは、固定回線の未整備とモバイル技術の発達が理由です。通信インフラの飛び越し型発展が経済を支えています。本ページでは、ケニアのモバイルマネーなど情報通信の進化を理解する上で重要なこのテーマについて、より深く探っていこうと思います。

アフリカの携帯電話普及率が高い理由とは?

アフリカというと、「テクノロジーはまだこれから」みたいなイメージ、ありませんか?でも実は、携帯電話(特にスマートフォン)の普及率がものすごい勢いで伸びているんです。


たとえばケニアやナイジェリアでは、大人の多くがスマホを使っていて、都市部だけじゃなく農村部でも“ケータイ1人1台”なんてことも珍しくありません。
「えっ、どうしてそんなに広がってるの?」と不思議に思いますよね?


ここでは、アフリカで携帯電話が驚くほど普及している理由を、5つの視点からわかりやすく解説します!



固定電話が“ほぼ無かった”から

ウガンダのモバイル電話ブース(MTNのGSM公衆電話)

ウガンダの携帯電話ブース(MTNのGSM公衆電話)
屋外に設置された携帯回線の公衆携帯電話ブースで、「固定電話を必要としない、新しい通信インフラ」である。有線の制約を受けないため、柔軟・安価・迅速に設置できるという点で、特にアフリカでは広く普及した。

出典:『Public telephone uganda』-Photo by Moongateclimber/Wikimedia Commons Public domainより


日本では、スマホが普及する前に家に「固定電話」があるのが当たり前でしたよね。 でもアフリカでは、インフラとしての固定電話網があまり発達していなかったんです。


その結果──いきなり固定電話をスキップして、携帯電話にジャンプ


これを「リープフロッグ型発展(Leapfrogging)」と呼ぶんですが、アフリカの通信事情はまさにこの代表例なんです。


リープフロッグ型発展とは

従来の段階的発展を飛び越えて、先進的な技術や制度を一気に取り入れる発展モデルのこと。


アフリカでは、固定電話を経ずに携帯電話が普及したり、銀行口座なしでモバイル送金サービス(例:M-Pesa)が広がった例が代表的。


広い国土でも“基地局だけ”でOK

ヨハネスブルグの5G携帯電話基地局(南アフリカ)

ヨハネスブルグの5G携帯電話基地局(南アフリカ)
都市部の道路沿いに立つ無線塔で、携帯電話ネットワークの電波を中継し通信エリアを広げる役割を担う。

出典:『5G Cell Tower in Johannesburg』-Photo by TapticInfo/Wikimedia Commons CC BY-SA 4.0より


アフリカの国々は、とにかく広大で人の密度が低い地域が多い。 そんなところに固定電話のケーブルを敷くのは、ものすごくコストがかかります。


でも携帯電話なら、アンテナ(基地局)をポンと建てれば広範囲をカバーできます。特に衛星通信や4G/5Gの導入によって、山や砂漠でも通信が可能になってきました。


つまり、「物理的につながってない=ネットが使えない」時代は、もう終わりに近づいているんですね。



“通話”じゃなくて“お金と生活”の道具

ナイロビのM-PESAとEquityのモバイルマネー代理店の店先

M-PESAとEquityのモバイルマネー代理店(ナイロビ)
携帯送金サービスの窓口で入出金や決済を仲介し、モバイルマネーの普及を支える都市の金融インフラとして機能している。

出典:『M-PESA mobile money and Equity agent, Nairobi, Kenya』-Photo by Fiona Graham/Wikimedia Commons CC BY-SA 2.0より


アフリカで携帯が普及した最大の理由のひとつが、モバイルマネー(携帯送金)の存在です。特に有名なのが、ケニア発のM-PESA(エムペサ)というサービス。


  • 口座がなくても、ケータイだけで送金・受取ができる
  • 買い物、公共料金の支払い、給料受け取りなどにも使える
  • 農村部の親戚に都市部から支援を送るときにも大活躍


これはもう、電話というより“財布代わり”。むしろスマホがないと生活ができないレベルなんですね。


安いスマホがどんどん出回っている

コートジボワール・アボイッソの携帯電話屋台

コートジボワール・アボイッソの携帯電話屋台
市場で携帯電話やスマホ関連の小物・サービスを売る露店が並び、スマホが生活の一部として浸透している様子がわかる。

出典:『Une vendeur de telephone a Aboisso』-Photo by MKwadyo/Wikimedia Commons CC BY-SA 4.0より


数年前までは「スマホは高級品」でしたが、最近では1万円以下の格安スマホが続々登場。 中でも中国・インド・韓国メーカーの機種が、アフリカ市場に大量に流れ込んできました。


また、アフリカ独自ブランド(たとえばテクノイノックスなど)も人気で、現地のニーズに合わせた多言語対応・省電力・カメラ強化モデルが次々リリースされています。


スマホ=贅沢品ではなく、日常の道具として手が届く時代になっているんです。


SNSと動画文化の爆発

アフリカの若者たちは、Facebook、Instagram、TikTok、WhatsApp…とSNSのヘビーユーザー。 「動画を撮って、友達に送って、シェアして、バズる」──そんなライフスタイルが、完全に定着しています。


特にナイジェリアではYouTubeやTikTokからスターが誕生したり、音楽やファッションの発信基地になっている地域もあるんです。


こうしたSNSや動画文化が、「スマホ持ってないと話題に乗り遅れる!」という気持ちを生み出し、さらなる普及につながっているんですね。


アフリカの携帯電話普及率が高いのは、ただ「便利だから」だけじゃなく、インフラの弱さを逆手に取った“飛び越え”、生活に直結する“お金の道具”、若者文化を動かす“発信の武器”としての役割があったからなんです。スマホ1台が、世界をつなぎ、日々を変えていく──そんなアフリカの今が、ここにあるんですね。