


ジンバブエの国旗
緑は農業、黄は鉱物資源、赤は独立闘争、黒は国民、白い三角と星は平和と希望を象徴する
ジンバブエの場所
南部アフリカの内陸に位置し、北にザンビア、東にモザンビーク、南に南アフリカ共和国、西にボツワナと接する
| 正式名称 | ジンバブエ共和国 |
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| 首都 | ハラレ |
| 面積 | 約39万平方キロメートル |
| 人口 | 約1,600万人(2024年推定) |
| 公用語 | 英語ほか16言語 |
| 通貨 | ジンバブエ・ドル(ZWL)など(複数通貨制度) |
| 地理 | 南部アフリカの内陸国で、高原地帯に位置。ビクトリア滝や大ジンバブエ遺跡が有名。 |
| 歴史 | 1980年にイギリスから独立。長期政権と経済危機、ハイパーインフレを経験。 |
| 経済 | 鉱業(プラチナ、金)、農業が中心。経済再建が課題。 |
| 文化 | ショナ族とンデベレ族が主要民族。ストーンカービングや音楽が有名。 |
| 国際関係 | 南部アフリカ開発共同体(SADC)加盟。 |
「ジンバブエ」って聞くと、昔ニュースで見た“インフレ地獄”とか、ムガベ大統領の話を思い出す人もいるかもしれませんね。でも実は、ジンバブエは南部アフリカで最も教育レベルが高い国のひとつで、古代遺跡や豊かな自然にあふれた魅力的な国なんです。ここではそんなジンバブエを、「歴史・社会・文化・地理」の視点からじっくり紹介していきます。
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グレート・ジンバブエ遺跡(ジンバブエ南東部)
ショナ系の王国に由来する石造都市の遺構で、国家名Zimbabweの語源とも結びつく起源を示す史跡。
出典: Photo by Janice Bell / CC BY-SA 4.0より
ジンバブエの名前は、11〜15世紀に栄えたグレート・ジンバブエ遺跡に由来しています。この巨大な石造建築は、アフリカでも珍しい「先住民が建てた都市遺跡」で、ショナ族の王国が存在していた証です。後にこの地はヨーロッパ列強の植民地競争の舞台となり、1890年代にイギリスの支配下に。やがてローデシアと呼ばれる白人政権国家となります。
しかし、1960年代以降黒人による解放闘争が激化し、1980年に独立と同時にジンバブエ共和国が誕生。ロバート・ムガベが初代首相となり、その後30年以上にわたり事実上の独裁体制が続きます。
2000年代には土地改革をきっかけに経済が大混乱し、超インフレに突入。2017年、ついにムガベが辞任し、現在は民主的な再建を目指す新体制が動き始めています。

ジンバブエの首都“ハラレ”
高層ビルと広がる道路網が特徴の内陸都市で、商業と行政の機能が集まるジンバブエの政治・経済の中心地。
出典:Photo by Itaisibanda / Wikimedia Commons CC BY-SA 4.0より
ジンバブエの社会は教育水準が高く、識字率は90%超。政治や経済の課題は多いけれど、人々は礼儀正しく勤勉で、家族や地域とのつながりをとても大切にしています。
政治体制は大統領制の共和制。現在の大統領はエマーソン・ムナンガグワで、ムガベ後の安定化を図っています。ただし、与党ZANU-PFの長期支配が続いており、野党弾圧や選挙不正疑惑など、民主化にはまだ課題も。市民の間では「政治には期待しないけど、希望は捨てない」というリアリズムが広がっています。
鉱業(特にプラチナ、金、ダイヤモンド)が主力ですが、2000年代の農地改革失敗とインフレで大打撃を受け、今も外貨不足、失業率の高さが続いています。とはいえ、観光業や農業の再建が徐々に進んでおり、南アフリカへの出稼ぎや送金も大きな支えになっています。
キリスト教(プロテスタント系が多い)が国民の大多数を占めますが、伝統宗教との融合(アフロ・クリスチャニティ)も一般的。例えば、先祖崇拝や精霊信仰が教会の中に取り入れられていたりするんです。宗教は精神的な支えであると同時に、社会活動の拠点にもなっています。
公用語は英語ですが、ショナ語とンデベレ語が主要民族語として広く使われています。その他にも16以上の言語が存在し、多言語国家ならではの“言葉の使い分け文化”が日常に根づいています。
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ショナ族の伝統装束をまとう男性
角笛やビーズ飾りを伴う装いで、ジンバブエ地域社会に息づく儀礼と美意識が交差する文化の表現。
出典:『Shona_witch_doctor(Zimbabwe)』- Photo by Hans Hillewaert / Wikimedia Commons CC BY-SA 3.0より
ジンバブエの文化は、土と石、歌と踊りから生まれたような、素朴で力強い世界。都市と農村ではだいぶスタイルが違うけど、誇りとストーリーを大切にする心は共通しています。
世界的に有名なのがショナ彫刻。滑らかに磨かれた石に、人間や精霊、動物が抽象的に彫られていて、スピリチュアルでどこか詩的。村のマーケットでも気軽に買えるアートで、生活と芸術が自然につながってる感じがします。
クリケットやラグビーが人気なのは、イギリス植民地時代の名残。でも最近はやっぱりサッカーが若者の間で主流に。ジンバブエ代表チームもアフリカネイションズカップに出場経験があり、地元リーグも盛り上がってます。
主食はサザ(トウモロコシ粉のお粥)で、これに葉物野菜、豆、肉やピーナッツソースなどを添えるのが一般的。都市部ではチキンやフライドポテトなんかも定番だけど、農村では地元の食材をシンプルに味わう文化が根強いです。
都市部にはコンクリートのビルもありますが、地方では今も日干しレンガや茅葺きの家が普通。丸い形の家(ラウンドハウス)は見た目もかわいくて、暑さや雨にも強い工夫がいっぱい。グレート・ジンバブエ遺跡の石造りの構造も、建築美と防御機能の両立という観点でとても独創的です。
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マナ・プールズ国立公園のザンベジ川景観
夕映えのザンベジ川に浮かぶ中洲と対岸の山並みを捉えた一枚で、川と氾濫原がつくる独特の地形環境を実感できる。
出典:Photo by Babakathy / CC0 1.0より
ジンバブエは内陸国だけど、高原地帯と自然保護区に恵まれていて、サファリやアウトドア好きにはたまらない国。気候も割と過ごしやすく、観光のポテンシャルは高いんです。
国土の大部分が標高1000m以上の高原で、マタベレランド、マショナランド、東部高地など地域ごとに特色があります。特にグレート・ジンバブエ遺跡やマナ・プールズ国立公園など、文化遺産と自然遺産が同居してるのがポイントです。
サバンナ気候ですが、標高が高いぶん涼しくて乾燥しているのが特徴。雨季(11月〜3月)と乾季(4月〜10月)がはっきりしていて、農業もこの季節サイクルにあわせて動いています。首都ハラレなんかは「アフリカの春の都市」なんて呼ばれるくらい、快適な気候なんですよ。
ヴィクトリアの滝が最大の観光スポットで、ザンビアとの国境にあるこの滝は「雷鳴のように響く水煙」という意味の現地語名「モシ・オ・トゥニャ」でも知られています。他にも国立公園や野生動物保護区がたくさんあり、ゾウ、ライオン、バッファロー、サイ、ヒョウなどの“ビッグ5”にも出会えるサファリ天国です。
ジンバブエは、傷つきながらも歩き続けてきた国。過去の混乱だけじゃなく、文化や自然の豊かさ、そして人々のたくましさにぜひ注目してほしい。知れば知るほど、その奥深さに心をつかまれる国です。
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