


セーシェルの国旗
青は空と海、黄は太陽、赤は国民の情熱、白は正義、緑は土地と自然を象徴している
セーシェルの場所
インド洋に浮かぶ東アフリカ沖の島国で、マダガスカルの北東、ケニアやタンザニアの沖合に位置する
| 正式名称 | セーシェル共和国 |
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| 首都 | ヴィクトリア |
| 面積 | 約455平方キロメートル(アフリカ最小の独立国家) |
| 人口 | 約10万人(2024年推定) |
| 公用語 | 英語、フランス語、セーシェル・クレオール語 |
| 通貨 | セーシェル・ルピー(SCR) |
| 地理 | インド洋に浮かぶ島国で、115の島々から成る。美しいビーチと自然保護区で知られる。 |
| 歴史 | 1976年にイギリスから独立。比較的安定した民主主義体制を維持。 |
| 経済 | 観光業が経済の柱。漁業や金融サービスも重要。 |
| 文化 | アフリカ・ヨーロッパ・アジアの影響を受けた多文化社会。音楽やダンスにクレオール文化が色濃く反映されている。 |
| 国際関係 | アフリカ連合および英連邦の加盟国。 |
「セーシェル」は、インド洋にぽつんと浮かぶ115の島々からなる“楽園国家”。真っ白なビーチ、エメラルドの海、カラフルな魚たち──まさに絵に描いたような南国の楽園です。でもこの国、ただのリゾート地じゃないんです。独特の歴史、多文化が混ざり合った社会、そして環境意識の高さがぎゅっと詰まった、実はとっても独創的な島国なんですよ。ここではそんなセーシェルを「歴史・社会・文化・地理」の視点でのぞいてみましょう。
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セーシェル・マヘ島北東部の港を示す1756年の古地図
フランスが領有を宣言した時期に作成された測量図で、島々の地形と港の入り江が克明に描かれている。
出典: Photo by Francois-Pierre Le Moyne / Wikimedia Commons Public domain
セーシェルはもともと無人島でした。
そこに最初に足を踏み入れたのは、16世紀のアラブ商人やポルトガルの航海者とされ、その後フランスが植民地化し、18世紀後半にはアフリカから奴隷が連れてこられて、島に定住が始まりました。
ナポレオン戦争の影響で1814年にイギリス領となり、その後もクレオール文化(多民族文化)が育っていきます。
1976年に独立を果たすと、一時は社会主義的な一党制の体制でしたが、1993年には複数政党制へ移行。現在は観光・金融・環境保全を柱にした、平和で安定した国家として国際的に評価されています。

セーシェルの首都“ヴィクトリア”
マヘ島に位置する小規模な港町で、行政機関や市場が集まり、多民族社会の暮らしが調和する穏やかな首都。
出典: Photo by Svetlozar Filev / Wikimedia Commons CC BY-SA 4.0
セーシェルの社会はとにかく多文化でカラフル!インド系、アフリカ系、フランス系、中国系などがミックスされていて、言葉も顔立ちも食文化もごちゃまぜなのに不思議と調和しているのが特徴です。
大統領制の民主共和国で、選挙も定期的に行われています。政治的には安定していて、政権交代も平和的に行われるようになりました。観光立国であるため治安維持や外交政策にも力を入れていて、小国ながら国際的な存在感も発揮しています。
主な産業は観光、漁業、オフショア金融。特に観光はGDPの大部分を占めていて、高級リゾートとエコツーリズムの両立が進んでいます。漁業ではマグロの輸出が有名。土地が少ないため農業は規模が小さく、輸入依存も多いですが、その分環境に配慮した開発が進んでいます。
国民の9割以上がカトリック教徒ですが、他にもヒンドゥー教、イスラム教、仏教などが平和的に共存しています。宗教的寛容さがあり、祝祭日には異なる宗教の人たちが一緒にお祝いするような、あたたかい雰囲気があります。
公用語はクレオール語、英語、フランス語。日常会話はセーシェル・クレオール語(仏語由来のクレオール)が主流で、教育やビジネスでは英語やフランス語もよく使われています。3言語の切り替えが当たり前という、超マルチリンガルな国なんです。
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セーシェルの伝統舞踊カントルの衣装(マヘ島の記念イベント)
白いブラウスに鮮やかなスカートを合わせた装いで、クレオールの文化が息づく祝祭の踊りを彩る。
出典: Photo by Salifa Magnan, Seychelles News Agency / Wikimedia Commons CC BY 4.0
セーシェルの文化は自然、海、音楽が中心。フランス風の優雅さと、アフリカ的なリズム感、アジア的な繊細さが絶妙にミックスされた文化は、のんびりしてるけど芯が強い、そんな印象です。
伝統的な木彫りや貝細工、籠編みが人気で、観光客向けのクラフトマーケットも盛況。最近では海洋プラスチックを使ったエコアートなども広がっていて、環境と芸術が結びついた表現が目立ちます。
サッカーやバレーボールが人気ですが、やっぱり海のスポーツが主役!スキューバダイビング、カヌー、釣り、ウィンドサーフィンなど、自然と一体になったアクティビティが日常的に楽しまれています。
クレオール料理が主流で、魚介類、ココナッツ、スパイス、トロピカルフルーツがふんだんに使われます。たとえばカレー風の魚の煮込み、グリルしたマグロ、チャットニー(果物の甘辛ソース)などが定番。味はマイルドだけど風味豊かで、日本人にも食べやすいですよ。
高床式の木造住宅「クレオール・ハウス」が伝統建築で、風通しと雨よけに配慮されたデザイン。首都ヴィクトリアにはコロニアル建築とモダン建築が共存していて、小さいながらも絵本の中みたいな街並みです。
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アルダブラ環礁(セーシェル外島)
サンゴ礁が環状に連なるインド洋屈指の大規模環礁で、浅いラグーンと無人の島々がセーシェルの地形を象徴する。
出典:『Aldabra_Atoll』- Photo by David Stanley / Wikimedia Commons CC BY 2.0
セーシェルはインド洋に浮かぶ115の島で構成されていて、地図で見ると「ほんとに国?」ってくらい小さい。でも、その美しさと自然の豊かさは世界トップレベルです。
セーシェルは、グラニティック島(花崗岩の島)とサンゴ礁からできたコーラル島が混在していて、アルダブラ環礁、マヘ島、プララン島、ラ・ディーグ島などが主要な島として知られています。山と海のコントラストが美しく、ハイキングとシュノーケルの両方を楽しめるのが魅力です。
熱帯海洋性気候で、年中あたたかく気温は25〜32℃程度。雨季(11〜3月)と乾季(4〜10月)があり、スコールはあるけど長引かないので観光には困りません。台風が来ないという珍しいエリアでもあります。
世界遺産「ヴァレ・ド・メ自然保護区」では、ココ・ド・メール(世界最大の種子)や黒オウムなど、ここでしか見られない固有種がたくさん!海ではサンゴ礁、ウミガメ、マンタ、ジンベエザメに出会えることも。自然保護意識が非常に高く、観光と共生する持続可能な仕組みが整っています。
セーシェルは、ただのリゾートじゃない。多様性と自然、歴史と未来が共存する“小さな大国”。ゆったりしてるのに、芯がある。そんな島々の魅力に、世界中から人が惹きつけられているんです。
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