

「アフリカ=サバンナや砂漠のイメージが強い」という人も多いかもしれませんが、実はこの大陸には“巨大な盆地”がいくつも広がっているんです。しかもその中には、国ひとつがすっぽり入るほど大きな盆地も!ここではアフリカ大陸の主な盆地を一覧で紹介しつつ、地形としての特徴や、それぞれの盆地に息づく自然・人間の営みもあわせて見ていきましょう。
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まず基本から。「盆地」とは、周囲を山や高原に囲まれた低地のこと。水や土砂が集まりやすく、川が流れたり、湿地や湖ができたりすることも多いんです。アフリカでは、プレート運動や侵食、火山活動によって広大な盆地がいくつも形成されてきたんですね。
アフリカの盆地は人と自然の共存ゾーン。以下のような影響をもたらしています。
つまり、盆地は自然環境と人間活動がぶつかり合う「舞台」でもあるんですね。
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それでは、アフリカの主要な盆地を見ていきましょう。位置や特徴もあわせて整理してみました。

コンゴ盆地の熱帯雨林
コンゴ民主共和国のイトゥリの森。広大なコンゴ盆地の雨林景観を示す。
出典:『Rainforest_-_Ituri_(20874628148)』- Photo by MONUSCO Photos / Abel Kavanagh / Wikimedia Commons Creative Commons CC BY-SA 2.0より
アフリカ最大の盆地。熱帯雨林に覆われており、コンゴ川が流れています。面積は約370万km2で、アフリカでは最大、アマゾンに次ぐ世界第2位の熱帯林地帯。
なんといっても規模が桁違いで、アフリカ中央部をほぼ丸ごと包み込むほどの大きさ。ここにはコンゴ熱帯雨林が広がっていて、気候調整・炭素吸収・生物多様性の宝庫とされているんです。
そしてこの盆地には、コンゴ川がS字状に流れ、流域面積ではナイル川に次いでアフリカ第2位の大河として、現地の暮らしや輸送・農業を支えています。

チャド盆地の地形と流域図
中央〜西アフリカに広がるチャド盆地の起伏と河川流域(チャド湖流域)を示す地図。
出典:『Chad_River_Basin_relief』- Aymatth2(著作権者) / Creative Commons CC BY-SA 3.0(画像利用ライセンス)より
ナイジェリア、ニジェール、チャド、カメルーンの4か国にまたがる、アフリカのど真ん中に位置する巨大な内陸盆地です。
ど真ん中にはチャド湖という湖がありまして、これがまた不思議な湖なんです。雨季になると水かさがグッと増えて、湖が大きく広がるんですが、乾季になると今度はぐぐーっと縮んでしまう。その差がとにかく激しい!
気候は全体的に乾燥ぎみで、特に北部は砂っぽい風景が広がっています。農業や牧畜が盛んな地域ではあるんですが、近年は水資源の減少や土地の劣化など、環境的な課題も見逃せません。

ナイル盆地の地形・流域図
主要な湖や支流、湿地、都市、ダム配置まで示したナイル盆地の概観図。
出典:Shannon1(著作権者) / Creative Commons CC BY-SA 4.0(画像利用ライセンス)より
「ナイルって、あの古代エジプトのナイル川から?」って思った方、正解です。ナイル盆地は、ウガンダからエジプトまで、いろんな国にまたがって広がっているんです。
ナイル川の流域は低地が続く肥沃な土地で、昔から人々の暮らしを支えてきました。特にエジプト周辺では、古代文明の誕生にも大きく関わっていたんですね。
今でもこの地域は農業の中心地。定期的な川の氾濫によって土が豊かになり、野菜や果物がよく育つんです。昔から今にかけて、ずーっと「ナイルの恵み」が続いている、そんな盆地です。

カラハリ盆地の分布図
ボツワナを中心にナミビアや南アフリカへ広がるカラハリ盆地の範囲を示す地図。オカバンゴ流域やマカディカディ周辺を含む広域の砂質盆地を可視化。
出典:Photo by Hallel / Wikimedia Commons CC BY-SA 4.0より
アフリカ南部、ボツワナを中心にナミビアや南アフリカ、ジンバブエにまたがる広大な盆地がこのカラハリ盆地。
「砂漠的な環境が中心」ではあるものの、全部が砂だらけってわけじゃないんです。乾いてるのは確かですが、草がちらほら生えていたり、木がぽつんと立っていたり……そんなステップ地帯が広がっているんですよ。
野生動物が多く生息していたり、先住民族のサン人たちが昔ながらの生活を続けていたりと、ここには独特の文化と自然が息づいています。乾燥地帯なのに、なんだか不思議と豊か。そんな場所なんですよ。

ウバンギ・シャリ盆地の流域図
コンゴ川最大の支流ウバンギ川の流域を示す地図。中央アフリカ共和国を中心に広がる盆地の範囲がわかる。
出典:『Ubangirivermap』- Photo by Kmusser / Wikimedia Commons CC BY-SA 3.0より
ちょっと名前が耳慣れないかもしれませんが、この盆地は中央アフリカ共和国を中心に広がる、緑の多い盆地地帯です。
地理的にはコンゴ盆地に隣接していて、熱帯雨林とサバンナの中間みたいな環境。だから動物も植物も種類がとっても豊富なんです。
ちなみに「ウバンギ・シャリ」っていうのは、かつてのフランス植民地時代の名前。その名残が地名として今も残ってるんですね。歴史と自然がミックスされた、ちょっと奥深い盆地です。

オカバンゴ盆地の流域図
カラハリ盆地内に広がるオカバンゴ川流域の範囲を示した地図。デルタと無排水の内陸盆地の関係がわかる。
出典:Photo by United Nations / Wikimedia Commons Public domainより
ボツワナの真ん中あたりにあるのが、このオカバンゴ盆地。何がすごいって、川の水が海に流れず、内陸で消えるというとってもレアな地形なんです。
オカバンゴ川の水は、最終的にオカバンゴ・デルタという湿地帯に広がって、そのまま地面に吸い込まれていくんですよ。
そのおかげで、ここにはゾウやカバ、カラフルな鳥たちなど、たくさんの野生動物が集まってきます。自然のサファリパークみたいな場所。
乾燥した大地の真ん中に突如現れる奇跡のオアシス。オカバンゴ盆地は、まさに大地の不思議を感じられる特別な場所です。
アフリカの盆地は、単なる地形じゃなくてそこに住む人々の生活や文化、生態系を形づくる“器”のような存在。大きな盆地を知ることは、アフリカを“立体的”に理解するヒントになりますよ!
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