アフリカのプランテーションってどこにあるの?栽培されている作物まとめ

アフリカのプランテーションの場所

アフリカのプランテーションは、西アフリカや東アフリカを中心に広がっています。カカオ、コーヒー、綿花、バナナなどの輸出用作物が主に栽培されています。本ページでは、植民地時代から続く大規模農業とその経済的影響を理解する上で重要なこのテーマについて、より深く探っていこうと思います。

アフリカのプランテーションってどこにあるの?栽培されている作物まとめ

「プランテーション」って聞くと、なんとなく“海外の大きな農園”ってイメージありませんか?でも実は、アフリカにも昔から広大なプランテーション農場がたくさんあって、カカオやコーヒー、バナナや綿花といった世界的な作物を今も大量に生産しているんです。ただし、その背景には植民地時代の歴史や、労働問題・経済格差といった深いテーマも…。ここではそんなアフリカのプランテーションについて、どこに多くあるのか、どんな作物が栽培されているのかを詳しく見ていきましょう。



そもそも「プランテーション」って何?

ドイツ領東アフリカ・ウサンバラのプランテーション(1906-1918年頃)

ドイツ領東アフリカ・ウサンバラのプランテーション
植民地期に欧州人が経営した農園の邸宅と敷地の様子を写した記録写真で、プランテーション経営の実態を伝える。

出典:『Bundesarchiv Bild, Deutsch-Ostafrika, Usambara, Pflanzung』-Photo by Walther Dobbertin/Wikimedia Commons CC BY-SA 3.0 de


プランテーションとは、単一の作物を大規模に栽培する農園のこと。多くは輸出向けの現金作物(キャッシュクロップ)が栽培されていて、欧米など外の国へ売るために作る農業スタイルなんです。


アフリカにこの形が広まったのは19世紀以降の植民地時代。ヨーロッパの国々がアフリカ各地を支配し、自国の産業を支えるためにコーヒーや綿花、サトウキビなどのプランテーションを開発しました。その影響で、今もプランテーション経済に依存している国が少なくありません。


プランテーションが多い地域と国

ケニア・ケリチョの広大な茶プランテーションの畝と作業路

ケリチョの大規模茶プランテーション(ケニア)
起伏する丘陵に茶畑がじゅうたんのように広がり、区画と作業路が大面積経営のスケール感を示す。

出典:『Tea farming in Kericho 12』-Photo by Ahero dala/Wikimedia Commons CC BY-SA 4.0


プランテーションは気候が温暖で、雨が適度に降る地域に多く見られます。とくに赤道周辺の熱帯地域や、海沿いの肥沃な土地に集中しているのが特徴です。


西アフリカ(カカオ・パーム油が主力)

  • コートジボワール:世界最大のカカオ生産国。国土の広範囲にカカオ農園が広がっています。
  • ガーナ:コートジボワールに次ぐカカオ大国。品質の高さでも有名。
  • ナイジェリア:カカオに加え、パーム油(アブラヤシ)の生産が盛ん。

この地域では、カカオや油やしが輸出収入の大きな柱になっており、多くの小規模農家も参加する一方で、労働環境や児童労働の問題も指摘されています。


東アフリカ(コーヒー・茶の名産地)

  • エチオピア:コーヒー発祥の地。アラビカ種の高級コーヒーが世界中で愛されています。
  • ケニア:高地で育つ上質な紅茶とコーヒーが有名。
  • タンザニア:キリマンジャロ山麓のコーヒー農園が観光地にもなっています。

これらの国では標高が高く冷涼な気候が、コーヒーや紅茶の栽培にぴったり。ブランド化も進んでいて、輸出向けの品質重視の農業が展開されています。


中・南部アフリカ(多様な作物が広がる)

  • ザンビア・マラウイ:タバコや綿花のプランテーションが多い。
  • モザンビーク・アンゴラ:サトウキビ、ココナッツ、果物の農園が広がっている。
  • カメルーン:バナナやパーム油に加えて、ゴムやコーヒーも。

特にモザンビークやザンビアでは、外国資本による農園投資が増えていて、土地の所有や収益配分をめぐる議論が活発化しています。



栽培されている代表的な作物まとめ

アフリカのプランテーションでは、次のような輸出向けの主要作物が多く栽培されています。 それぞれ、気候や土壌に合った地域で育てられ、世界市場に向けて出荷されています。


カカオ(西アフリカ中心)

ガーナのカカオ豆の天日乾燥

ガーナのカカオ豆の天日乾燥
カカオ輸出は、ガーナの経済を支える柱であると同時に、モノカルチャー経済の典型的な事例

出典:『Cocoa beans on a dryer』-Photo by MayorParis/Wikimedia Commons CC BY-SA 4.0


チョコレートの原料であるカカオ豆。コートジボワールとガーナだけで世界の約6割を占めるほどの主力作物で、農村経済を支える大黒柱です。家族経営の小規模農園が多く、子どもたちも農作業を手伝いながら生計を立てている家庭も少なくありません。


ただしその一方で、低価格や中間業者の利益優先といった問題も抱えており、生産者が十分な収入を得られていないという現実もあります。フェアトレードの取り組みなどが、今後の改善のカギとなりそうです。


コーヒー(東アフリカ・中央アフリカ)

アワサのコーヒー農家の手摘み(エチオピア)

エチオピアのコーヒー農家の手摘み
エチオピア商品取引所の整備で収穫・選別の情報提供や流通が改善され、品質向上と輸出産業の基盤づくりが進んだ現場の一例。

出典:『The start of your morning coffee』-Photo by DFID - UK Department for International Development/Wikimedia Commons CC BY 2.0


特にエチオピアやウガンダが有名で、アラビカ種・ロブスタ種ともに広く栽培されています。エチオピアは「コーヒー発祥の地」として知られており、伝統と品質を誇るブランド産地なんです。


標高や気候条件が味に影響するため、個性豊かなコーヒー豆が多く、欧米のバイヤーから高く評価されています。コーヒーは単なる商品ではなく、農家の誇りと生活の中心でもあるんですね。


紅茶(ケニア、ウガンダ、ルワンダ)

ナンディヒルズの茶摘み(ケニア)

ケニアの紅茶の茶摘み
茶樹の新芽と二葉を手で摘み取り、工場へ運ぶ前の集荷工程を担う労働者の姿

出典:『Tea picking in Nandi Hills』-Photo by Constance Derouin/Wikimedia Commons CC BY-SA 4.0


高地で栽培されるケニア紅茶は、特に香りのよさとコクの強さで世界中の紅茶ファンに親しまれています。ケニアは紅茶の輸出量で世界トップクラスを誇り、国家経済にとっても重要な柱となっています。


茶葉の摘み取りから乾燥、加工、出荷まで、多くの人の手を経て商品になるので、地方の雇用創出にも大きく貢献しているんです。紅茶は“飲みもの”というより、アフリカの働く人たちの暮らしを支える産業でもあるんですね。


パーム油(ナイジェリア、カメルーン)

ナイジェリア・アウォ=オママのアブラヤシ(オイルパーム)プランテーション

ナイジェリアのパーム油農園
整然と植栽されたアブラヤシが続くプランテーションで、ナイジェリアのパーム油生産を支える基盤となる景観。

出典:『Oil Palm Plantation, Awo-omamma』-Photo by Morg4kele/Wikimedia Commons CC BY-SA 4.0より


食用油や石けん、化粧品の原料として世界的に需要が高いパーム油。アフリカでもその生産が盛んで、特にナイジェリアでは伝統的な小規模生産と、大規模プランテーションの両方が存在しています。


ただし、熱帯林の伐採や生態系への影響も指摘されており、環境保護とのバランスが問われる産業のひとつでもあります。今後は、持続可能な生産方法の導入が重要になってきますね。


綿花(ブルキナファソ、マリ、ザンビア)

綿花モジュールを積み上げた集荷地点(ブルキナファソ・ヌムーダラ)

ブルキナファソの綿花集荷
農園で収穫した綿花を圧縮して集荷所に集める工程で、アフリカにみられる綿花プランテーション生産の流通拠点の一例。

出典:『Cotton modules in Noumoudara』-Photo by Rik Schuiling / TropCrop-TCS/Wikimedia Commons CC BY-SA 4.0より


衣料品や繊維産業の原料として欠かせない綿花。乾燥地帯でも育ちやすく、特に西アフリカ内陸部では広く栽培されている農産物です。


一方で国際的な綿花価格の変動に強く影響されやすく、農家の収入が不安定になりがちという課題もあります。この“白い金”をどう安定した収入源にできるかが、地域発展のカギになりそうです。


サトウキビ(モザンビーク、スーダン)

スーダンのサトウキビ畑で収穫した茎を荷車で運ぶ少年

スーダンのサトウキビ畑
畑で刈り取ったサトウキビを荷車で家へ運ぶ日常の作業が写り、地域の農業と流通の実態が見える。

出典:『Sugar cane boy』-Photo by Tagwa nafie/Wikimedia Commons CC BY-SA 4.0より


砂糖やエタノール(バイオ燃料)の原料になるサトウキビは、水資源に恵まれた地域で盛んに栽培されています。特に沿岸部の大規模農園では機械化も進み、生産効率が年々上がってきています。


農業インフラや輸出ルートの整備が進めば、エネルギー資源としての活用も期待されています。食料だけでなく“燃料”としても活躍する、多機能な作物なんですね。


タバコ(マラウイ、ジンバブエ)

マラウイのタバコ畑(プランテーション)

マラウイのタバコ畑
整然と並ぶタバコの畝が続く農園景観で、収穫と乾燥を前提にした大規模栽培の様子がわかる。

出典:『Tobacco, Malawi』-Photo by Joachim Huber/Wikimedia Commons CC BY-SA 2.0より


たばこ葉の輸出は、これらの国にとって重要な外貨収入源となっています。特にジンバブエ産のバージニア葉は品質が高く、世界中のたばこ産業から高い評価を受けています。


しかし健康志向の高まりとともに、需要の先細りも懸念されています。今後は、持続可能な農業の中でどう位置づけていくかが問われる分野でもあります。タバコ農家の生活を守るために、新しい作物への転換を支援する動きも始まっています。


課題とこれからの動き

アフリカのプランテーションは今も外貨獲得の重要な手段ですが、一方でモノカルチャー経済(特定作物への依存)児童労働や低賃金といった社会課題も残っています。


最近では、フェアトレード認証を受けた農園や、環境に配慮した持続可能な栽培方法を広げる動きも加速中。


さらに、地元企業や農民グループが加工や販売まで担う「アグリビジネス化」も進んできていて、「育てるだけ」から「付加価値を生み出す農業」への転換が模索されているんです。


アフリカのプランテーションは、ただの“大きな農場”じゃなくて、歴史、経済、暮らし、そして国際社会とのつながりが詰まった場所。そこから世界に届くコーヒーやチョコの裏側にも、ストーリーがあるって知ると、ちょっと味わいが変わるかもしれません。