


エジプトの国旗
赤は革命、白は未来、黒は抑圧の終焉を象徴し、中央の鷲は権威と統一を表している
エジプトの場所
北東アフリカに位置し、北に地中海、東に紅海、東側でアジアと接するシナイ半島を有する
| 正式名称 | エジプト・アラブ共和国 |
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| 首都 | カイロ |
| 面積 | 約100.2万平方キロメートル |
| 人口 | 約1億1000万人(2024年推定) |
| 公用語 | アラビア語 |
| 通貨 | エジプト・ポンド(EGP) |
| 地理 | アフリカ北東部に位置し、スエズ運河を介してアジアと接する。ナイル川流域に人口が集中。 |
| 歴史 | 古代エジプト文明の発祥地。1952年に王政を廃止し、共和国に。 |
| 経済 | 観光、運輸(スエズ運河)、農業が中心。政治・経済の安定性に課題がある。 |
| 文化 | アラブ・イスラム文化が主軸。古代遺跡(ピラミッド、スフィンクス)は世界的に有名。 |
| 国際関係 | アラブ連盟、アフリカ連合の有力国。 |
「エジプト」といえば、ピラミッドやスフィンクス、ナイル川にファラオ──そんなイメージが真っ先に浮かびますよね。でも、エジプトは古代文明だけじゃなく、現代も中東・アフリカ両方の顔を持つ地政学的にも文化的にも超重要な国なんです。ここではそんなエジプトを、「歴史・社会・文化・地理」の4つの視点から深掘りしてみましょう。
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ナルメルのパレット(上下エジプト統一を示す石板)
初期王朝期の代表的遺物で、上下エジプトの統合と王権の誕生を描き、古代エジプト国家の起源を物語る。
出典:Photo by Velatrix / Wikimedia Commons Public domain
エジプトの歴史は、世界史の教科書の最初の方に必ず出てくるほど古くて壮大。何千年も前から人が暮らしていた場所であり、人類の文明が花開いた舞台でもあるんです。
紀元前3000年ごろには古代エジプト王朝が誕生し、ピラミッドや神殿、ヒエログリフ(象形文字)などが次々と作られました。その後はアッシリア、ペルシャ、ギリシャ(アレクサンドロス大王)と支配が変わり、ローマ帝国の一部にもなります。
7世紀にはイスラム教が伝来し、それ以降はイスラム文化が根付いていきました。
19世紀にはオスマン帝国の支配下に入りつつ、イギリスの影響も強まっていき、1952年にナセル大統領によって共和制国家として独立。スエズ運河の国有化やアラブ民族主義の高まりなど、現代でも中東政治に深く関わり続けている国です。

エジプトの首都“カイロ”
ナイル川沿いに広がる中東最大級の都市で、古代文明の遺産と現代の経済活動が共存する歴史と活気に満ちた中心地。
出典:Photo by Vyacheslav Argenberg / Wikimedia Commons CC BY 4.0
エジプトの社会は、古代の伝統とイスラムの価値観、そして現代的なライフスタイルが混ざり合っている独特のバランスを持っています。首都カイロを中心に都市化が進んでいる一方、ナイル川沿いや地方では今も昔ながらの生活が色濃く残っています。
エジプトは大統領制の共和国ですが、政治的には強権的な統治が続いています。2011年のアラブの春では、長期政権を維持していたムバラク大統領が退陣し、一時は民主化への期待が高まりましたが、その後も混乱が続き、現在はシシ大統領による軍出身の政権が安定を保っています。ただし言論の自由や人権の問題は依然として課題であり、国際社会からも注目されています。
エジプトの経済は多角的ですが、中でも観光業とスエズ運河の収入が大きな柱です。ピラミッドや古代遺跡を求めて多くの観光客が訪れますし、スエズ運河は世界の海上貿易の要所として利用され、運河通行料が国の重要な収入源になっています。また、農業はナイル川沿いで今も盛んで、最近ではエネルギー開発(特に天然ガス)も進んでいます。
エジプトの宗教はイスラム教スンニ派が大多数ですが、キリスト教コプト派も一定数存在していて、特に歴史的にはとても重要な役割を果たしてきました。宗教は社会制度や日常の習慣にも深く結びついていて、ラマダンの断食月には町全体の生活リズムがガラッと変わるほどです。
公用語はアラビア語ですが、話されているのはエジプト特有の方言(エジプト方言)で、テレビドラマや映画の影響でアラブ世界でも広く理解されている言葉なんです。また、教育やビジネスでは英語やフランス語も使われることがあり、多言語環境が一部に存在しています。
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ヒジャーブをまとうエジプト女性
宗教的価値観と地域ごとの装いが交差する日常の姿で、都市から農村まで連なるエジプトの文化の多様さを映す。
出典:『Women_in_Egypt』- Photo by Steve Evans / Wikimedia Commons CC BY 2.0より
エジプトの文化は、世界最古級の文明から現代アラブ文化までがぎゅっと詰まった宝箱みたいなもの。宗教、芸術、食、音楽すべてに深い歴史がありながら、常に新しいものを取り入れて進化しているのが魅力です。
古代エジプトの美術といえば、ピラミッド内部の壁画や黄金のマスクなどが超有名ですよね。これらは神話や死後の世界への信仰を映し出したものですが、現代のエジプト美術は社会批判やアイデンティティをテーマにした現代アートも注目されています。特にカイロでは、若いアーティストたちがギャラリーや路上で自由に作品を発表しているんです。
サッカーは断トツで国民的スポーツ。エジプト代表はアフリカの強豪国のひとつで、モハメド・サラー選手のような世界的スターも輩出しています。その他にもレスリングや重量挙げなどオリンピック種目での活躍も見られます。
エジプトの料理は、地中海・中東・アフリカの要素がミックスされた家庭的な味が魅力。代表的なのはコシャリ(豆や米、パスタなどをミックスした庶民の定番)やモロヘイヤスープ、ファラフェル(ひよこ豆の揚げ物)など。味付けは基本的に優しくスパイシーで、日本人にも合いやすいんです。
古代のピラミッドや神殿といった世界遺産レベルの遺跡から、イスラム様式のモスク建築、そして近代的なビルまで、時代と宗教がミックスされた街並みが見どころ。カイロ旧市街のイスラム建築群や、アレクサンドリアのコロニアル建築なども見逃せません。
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ナイル川とデルタの衛星画像(エジプト)
砂漠の大地に緑の帯を描くナイル川とデルタは国土の骨格をなし、気候や農業、都市の分布まで左右する地理的特徴の核心。
出典:Photo by MODIS Land Rapid Response Team, NASA GSFC / Wikimedia Commons Public domain
エジプトの地理はとにかく独創的。国土の90%以上が砂漠なのに、そこに流れるナイル川の水が生命線となっていて、その両岸だけに文明が集中しているというまさに「水が育てた国」なんです。
国の中心にはナイル川が南北に長く走っていて、その周辺に人や街が集中しています。一方で、西側にはリビア砂漠、東側にはアラビア砂漠が広がっていて、まさに大地のコントラストがすごい国です。北は地中海に、東は紅海に面していて、スエズ運河が両者をつなぐ交通の要所になっています。
エジプトは典型的な砂漠気候で、夏はとにかく暑くて乾燥、冬は日中こそ暖かいけど朝晩はけっこう冷えます。降水量は非常に少ないので、水資源の管理は国の死活問題になっています。ナイル川の水配分をめぐって、上流国との外交問題もあるくらいなんですよ。
エジプトの自然の魅力といえば、やっぱりナイル川とその周辺の風景です。夕焼けのナイルはとにかく美しくて、クルーズ観光でも大人気。また、紅海沿岸ではサンゴ礁やダイビングスポットもあり、海のレジャーも楽しめます。砂漠にはオアシスも点在していて、まるで映画のワンシーンのような風景が広がっています。
エジプトは、古代文明のロマンと現代中東のリアルが交差する歴史と未来が同居した国です。行けば行くほど、ただの「観光地」じゃない深みがあって、文化や人の温かさにどんどん惹かれていくはずですよ。
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