

「アフリカではゴキブリを食べるってマジ!?」
──この話、ネットや都市伝説っぽく語られることもあるんですが、基本的には誤解が多い話です。実際には、アフリカの多くの地域でゴキブリを“食材”として食べる文化はほとんどありません。
ただし、「昆虫食」という文脈で見ると、ちょっと違った話が見えてくるんですよ。
ここではこのテーマについて、どこまでが事実で、どこからが誤解なのか、そしてアフリカと昆虫食のリアルを整理してみます。
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アフリカは確かに昆虫を食べる文化が根づいている地域ですが、そこにゴキブリはほぼ含まれません。
というのも、アフリカでも多くの地域で、ゴキブリは病原菌を媒介する衛生的に好ましくない存在とされていて、食用として適していないと考えられているからです。
つまり、「ゴキブリを食べるのがアフリカの文化」というのは事実ではありません。これはステレオタイプや誤解、センセーショナルな噂が独り歩きしているパターンです。
一方で、アフリカの多くの地域では、栄養価が高く、安全な昆虫が伝統的に食べられています。見た目はちょっとびっくりするかもしれないけれど、実はヘルシーで環境にも優しい“未来のたんぱく源”。
特に有名なのは
などです。

乾燥調理されたモパニワーム
モパニの木に育つガの幼虫を収穫して下処理し、乾燥や加熱で保存性を高めた食材。高たんぱく源として南部アフリカの食文化に根づいている。
出典:『Dried, cooked Mopane worms』-Photo by Mark Marathon/Wikimedia Commons CC BY-SA 4.0
ジンバブエ、ザンビア、南アフリカなどでよく食べられ、タンパク質や鉄分が豊富。中でも「モパニワーム」はごちそうとして有名で、煮たり、干したり、炒めたりと、調理法もいろいろ。栄養バランスの良さは、牛肉や鶏肉にも負けないくらいなんです。
揚げたバッタ(ウガンダ)
ウガンダで季節に採れる食用バッタ「エンセネネ」を油で揚げた一皿。塩やスパイスで味付けしてつまむ定番の惣菜で、タンパク源としても重宝されている。
出典:『Ensenene』-Photo by Kalungi Nathan/Wikimedia Commons CC BY-SA 4.0
ウガンダやケニアなど東アフリカの市場でよく売られていて、サクサクした食感と香ばしさが人気。油で揚げたり、唐辛子で味付けしたりして、まさに“おつまみ感覚”で食べられています。「虫なんてムリ!」と思う人でも、食べてみたら案外クセになるかも。

シロアリ料理を食べる少年(ジンバブエ)
炒る・茹でるなどで調理したシロアリを皿で食べる様子。保存性が高く高たんぱくな食材として地域の食文化に根づいている。
出典:『A young boy eating cooked termites』-Photo by Cecil Dzwowa/Wikimedia Commons CC BY-SA 4.0
雨季の時期に大量発生し、それを見計らって集めるのが伝統的な風景。ローストや干物にして保存もきき、ナッツのような風味で人気です。小さな体にギュッと栄養が詰まっていて、地域によっては“命をつなぐ食べもの”でもあります。
これらは「食文化としての昆虫食」であって、健康・栄養・持続可能性の観点からも再評価されているんです。
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この手の話が出てくる背景には、いくつかの原因が考えられます:
たしかに、実験的に食用ゴキブリを育てているケース(主に中国やタイ)もありますが、それはあくまで衛生管理された食用種。アフリカで路上にいるようなゴキブリを食べる、というのはほぼ都市伝説レベルです。
むしろアフリカでは、昆虫を持続可能なタンパク源として見直す動きも出てきています。たとえば:
だからこそ、「昆虫=野蛮」なんて偏見じゃなく、知恵や工夫、未来の可能性を秘めた食文化として見ていく必要があるんです。
アフリカで「ゴキブリを食べる」は、ほぼ都市伝説。実際には、選ばれた安全な昆虫を、伝統と知恵の中で食べているんです。食べ物の多様性を知るって、文化を尊重する第一歩ですよね。
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