アフリカの「象牙海岸」ってどこの国?名前の由来とは

象牙海岸の国と名前の由来

「象牙海岸」は、西アフリカに位置するコートジボワールの旧称です。かつて象牙の交易が盛んだったことから、フランス植民地時代にこの名がつけられました。本ページでは、西アフリカの交易史や地名の変遷を理解する上で重要なこのテーマについて、より深く探っていこうと思います。

アフリカの「象牙海岸」ってどこの国?名前の由来とは

象牙海岸(Ivory Coast)」って、歴史の授業やニュースで聞いたことがある人も多いと思います。でも、それって実際どこの国のこと?ってなると、意外と知られてないんですよね。


答えは──コートジボワール共和国


ここではこの「象牙海岸」という名前の意味と由来、そして現代の国との関係を、わかりやすく解説していきます。



「象牙海岸」=コートジボワールのこと

コートジボワールの国旗
橙は北部のサバンナ、白は平和、緑は森林と希望を象徴し、国の多様な自然環境を表している


コートジボワールの場所
西アフリカに位置し、南はギニア湾に面し、西にリベリアとギニア、北にマリとブルキナファソ、東にガーナと接する


 


象牙海岸とは、現在の西アフリカにある国・コートジボワール(フランス語:Cote d’Ivoire)のことです。国名を直訳すると、まさに「象牙の海岸」という意味。


ただし、この「象牙海岸」という言い方は歴史的な地名であり、現代の正式名称としては「コートジボワール」表記を国として強く推奨しています。なので国際的にも、日本でも、今は「コートジボワール」という言い方が主流なんですね。


なぜ「象牙海岸」と呼ばれたの?

17世紀の西アフリカ地図(象牙海岸の表示)

17世紀の西アフリカ・ギニア湾(象牙海岸)の地図
交易地名として象牙海岸がヨーロッパ地図に記され、沿岸の交易圏(ゴールドコーストやスレーブコーストと併記)と結びついて象牙の流通史が可視化されている。

出典: Photo by John Ogilby / Wikimedia Commons Public domain


この名前の由来は、16〜19世紀にかけての象牙貿易の拠点だったことにあります。かつてこの地域では、象の牙(アイボリー)が非常に貴重な交易品として扱われ、次のような流れがありました:


  • ヨーロッパの商人たちが象牙を大量に輸出(家具、彫刻、ピアノの鍵などに使われた)
  • 現地の象が乱獲され、自然破壊が進行
  • 象牙の需要とともに、奴隷交易も密接に絡んでいた


こうした背景の中で、この地域は「Ivory Coast(象牙海岸)」と呼ばれるようになったんです。ちなみに、アフリカ西海岸には他にも「黄金海岸(現・ガーナ)」や「奴隷海岸(現・トーゴ、ベナン、ナイジェリアの一部)」といった呼び名もあって、資源や交易の内容で呼び分けられていたんですね。



なぜ今は「象牙海岸」と呼ばないの?

1985年、コートジボワール政府は「国名はどの言語でもCote d’Ivoire(コートジボワール)と表記せよ」と宣言しました。つまり、英語で「Ivory Coast」、日本語で「象牙海岸」と訳すのもNGという方針なんです。


その理由は:


  • 植民地時代の名前から脱却したい
  • 独立国家としての尊厳と統一されたブランドを確立したい
  • 象牙の密猟や環境破壊の負のイメージと距離を置きたい


なので今では国際連合をはじめ、多くの国が“Cote d’Ivoire”表記を尊重しています。


コートジボワールってどんな国?ざっくり紹介!

アビジャンのプラトー地区の夕景(象牙海岸)

アビジャンのプラトー地区の夕景
コートジボワールの最大都市、ラグーンに面した経済中枢プラトーの高層ビル群。港湾都市として発展した象牙海岸の現代的な都市景観がわかる。

出典: Photo by J. N. Squire / Wikimedia Commons CC BY-SA 4.0より


地理的には西アフリカのギニア湾沿いにあって、隣国はガーナ、ブルキナファソ、マリなど。首都はヤムスクロ、最大都市はアビジャンで、経済の中心地になっています。


特徴的なのは:


  • カカオ豆の生産量が世界一
  • 音楽やファッションが西アフリカで大人気
  • 過去には内戦も経験し、和解と復興を進めている最中


ヨーロッパとアフリカの関係、植民地の歴史、そして自然と経済──すべてが詰まった一国なんですね。


「象牙海岸」という呼び方の背景には、交易、植民地主義、そして自然資源への欲望が詰まっていました。でも今は、「コートジボワール」という名前で、過去と向き合いながら未来をつくろうとしている国なんです。