

「象牙海岸(Ivory Coast)」って、歴史の授業やニュースで聞いたことがある人も多いと思います。でも、それって実際どこの国のこと?ってなると、意外と知られてないんですよね。
答えは──コートジボワール共和国!
ここではこの「象牙海岸」という名前の意味と由来、そして現代の国との関係を、わかりやすく解説していきます。
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コートジボワールの国旗
橙は北部のサバンナ、白は平和、緑は森林と希望を象徴し、国の多様な自然環境を表している
コートジボワールの場所
西アフリカに位置し、南はギニア湾に面し、西にリベリアとギニア、北にマリとブルキナファソ、東にガーナと接する
象牙海岸とは、現在の西アフリカにある国・コートジボワール(フランス語:Cote d’Ivoire)のことです。国名を直訳すると、まさに「象牙の海岸」という意味。
ただし、この「象牙海岸」という言い方は歴史的な地名であり、現代の正式名称としては「コートジボワール」表記を国として強く推奨しています。なので国際的にも、日本でも、今は「コートジボワール」という言い方が主流なんですね。

17世紀の西アフリカ・ギニア湾(象牙海岸)の地図
交易地名として象牙海岸がヨーロッパ地図に記され、沿岸の交易圏(ゴールドコーストやスレーブコーストと併記)と結びついて象牙の流通史が可視化されている。
出典: Photo by John Ogilby / Wikimedia Commons Public domain
この名前の由来は、16〜19世紀にかけての象牙貿易の拠点だったことにあります。かつてこの地域では、象の牙(アイボリー)が非常に貴重な交易品として扱われ、次のような流れがありました:
こうした背景の中で、この地域は「Ivory Coast(象牙海岸)」と呼ばれるようになったんです。ちなみに、アフリカ西海岸には他にも「黄金海岸(現・ガーナ)」や「奴隷海岸(現・トーゴ、ベナン、ナイジェリアの一部)」といった呼び名もあって、資源や交易の内容で呼び分けられていたんですね。
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1985年、コートジボワール政府は「国名はどの言語でもCote d’Ivoire(コートジボワール)と表記せよ」と宣言しました。つまり、英語で「Ivory Coast」、日本語で「象牙海岸」と訳すのもNGという方針なんです。
その理由は:
なので今では国際連合をはじめ、多くの国が“Cote d’Ivoire”表記を尊重しています。

アビジャンのプラトー地区の夕景
コートジボワールの最大都市、ラグーンに面した経済中枢プラトーの高層ビル群。港湾都市として発展した象牙海岸の現代的な都市景観がわかる。
出典: Photo by J. N. Squire / Wikimedia Commons CC BY-SA 4.0より
地理的には西アフリカのギニア湾沿いにあって、隣国はガーナ、ブルキナファソ、マリなど。首都はヤムスクロ、最大都市はアビジャンで、経済の中心地になっています。
特徴的なのは:
ヨーロッパとアフリカの関係、植民地の歴史、そして自然と経済──すべてが詰まった一国なんですね。
「象牙海岸」という呼び方の背景には、交易、植民地主義、そして自然資源への欲望が詰まっていました。でも今は、「コートジボワール」という名前で、過去と向き合いながら未来をつくろうとしている国なんです。
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