アフリカでさかんな「オアシス農業」ってなに?

アフリカのオアシス農業とは

オアシス農業は、砂漠の湧水や地下水を利用して作物を育てる農業形態です。北アフリカのサハラ周辺で盛んに行われています。本ページでは、エジプトやアルジェリアなどの乾燥地域の生活と農業文化を理解する上で重要なこのテーマについて、より深く探っていこうと思います。

アフリカでさかんな「オアシス農業」ってなに?

アフリカっていうと、サバンナやジャングルもあるけれど、やっぱり砂漠のイメージが強いですよね。


でも、そんな乾いた大地のど真ん中でも、ちゃんと作物を育てて生きている人たちがいるんです。それを支えているのが、そう、「オアシス農業」


一見「水がないのにどうやって農業なんて?」って思いますよね。でもそこには、驚くような工夫や知恵が詰まってるんですよ。


ここでは、アフリカで今も行われているオアシス農業のしくみと特徴について、わかりやすく紹介します!



砂漠の中の“奇跡の農業”

オアシスのナツメヤシ林と穀物畑(モーリタニア、1960年)

オアシスのナツメヤシ林と穀物畑(モーリタニア、1960年)
木陰を活かして小麦や大麦を区画栽培する、典型的なオアシス農業の景観。

出典:『Photo Small plots of wheat and barley among the palm trees 1960 - Touring Club Italiano BBC 16』-Photo by Touring Club Italiano/Wikimedia Commons CC BY-SA 4.0


オアシス農業とは、砂漠の中にある水源(=オアシス)を活かして行う農業のこと。


主に行われているのは、アフリカのサハラ砂漠周辺の国々。たとえば──


  • アルジェリア
  • エジプト
  • リビア
  • モロッコ
  • スーダン


などの北アフリカの乾燥地域で多く見られます。
広い砂漠の中で、緑のエリアがポツンと現れる──それがオアシス。まさに“生命の島”なんですね。


オアシスができる場所=地下水がある場所

カナートの断面図(地下水路と集水口、井戸、緩い勾配でオアシスへ導水)

オアシス農業のカナート(水路)断面図
麓の地下水面に掘った母井戸から、わずかな勾配の地下トンネル(Qanat Channel)で水を重力輸送し、縦穴(Access Shaft)は施工・保守のために地表とつながっている様子を示す。 水は沖積層を通って出口(Outlet)で湧き、堰や水門・用水路網(Distribution)によって耕地へ配分され、蒸発損失を抑える。 この仕組みにより、乾燥地でも安定した灌漑ができ、オアシス農業を成立させている。

出典:『Qanat cross section』-Photo by Samuel Bailey/Wikimedia Commons CC BY 3.0


オアシスって、川が流れてるわけでもないのに、どうして水があるの? という疑問を持つ人もいると思いますが、実はその多くは地下水


数千年前の雨や氷河期の水が地下にしみこんで溜まっている「化石水(ふるい水)」をくみ上げて、農業に利用しているんです。


伝統的にはカナート(水路)という地下トンネルを掘って水を引いたり、揚水ポンプを使って井戸からくみ上げたりして、水をムダにしない工夫がされています。


ヤシの木の下で野菜を育てる“立体栽培”

オアシス農業の面白いところは、その立体的な作り


というのも、砂漠はとにかく日差しが強い。だから──


  • 一番上にナツメヤシを植えて日陰を作る
  • その下に果樹や野菜を植える
  • さらにその下に根菜や草を植える


という三層構造の“立体農業”が使われてるんです。
こうすることで、直射日光をやわらげ、水の蒸発を防ぎながら、多種類の作物を同時に育てられるというわけ。


ナツメヤシの実は栄養価も高く、保存もきくので、現地の人たちにとってエネルギー源にも貴重な収入源にもなるんです。



限られた水をめぐる、ルールと協力

水が超貴重なオアシス農業では、水の分配にもルールや伝統があります。


たとえば──


  • 井戸を共有して時間で使い分ける
  • 水の使用順番を世代で継承する
  • 村全体で水の管理役(ウォーターマスター)を立てる


など、まるで水を“みんなの財産”として大事に守ってるんです。
この協力の仕組みがないと、すぐに争いごとになってしまう。だからこそ、古くから続くオアシス農業には人間関係の知恵も詰まってるんですね。


今、“サステナブル農業”としても注目されている

気候変動が進む今、乾燥地でも持続可能な農業をどうやって続けるかが世界的な課題になっています。


そんな中で、オアシス農業の知恵──


  • 水をムダにしないこと
  • 多様な作物を少量ずつ育てること
  • 地域コミュニティで支え合うこと


これらが“サステナブルな農業モデル”として注目され始めているんです。


ドローンや気候センサーなどを使ったスマートオアシス農業なんていう新しい試みも、今まさに動き始めているところなんですよ。


オアシス農業は、砂漠の中で人々が生き抜くために生まれた、知恵と工夫の結晶です。限られた水を分け合い、太陽と上手につきあいながら作物を育てる──その姿は、まさに“環境と共に生きる農業”。未来のヒントが、砂漠の緑の中にあるのかもしれませんね。